いちねんせいになると・・・
 我が家には,今年の春(2003年)小学校に入学した息子2と中学校に入学した息子1がいます。その小学校入学の息子のためにランドセルを買いました。
 我が家同様に小学校入学の子どものためにどの家庭でも必ずランドセルを購入していて,今年度のM小学校入学式の日には,全員が赤や黒を基調としたほぼ同じ形のランドセルを背にしていました。おそらく,日本全国の多くの小学校が同じ状況だと思われます。
 ところが,学年が上がるといつのまにかランドセルが他のバックになってしまうことが多いのです。ランドセルは,背負うバックですので両手が自由になり,勉強道具もたくさん入りますのでとても便利で丈夫な道具なのですが,なぜか壊れてもいないのにそれを使わなくなってしまう児童が多いのです。
 我が家では小学校卒業まで,ランドセルを使わせます。中学校に入学した息子1のランドセルは,5年生の時に一度修理(無料サービス)しましたが,まだまだ使用することが出来る状態です。
 そんな丈夫なランドセルを6年間使わせないで,他のバックに取り替えてしまうのは,どのような理由なのでしょうか。何か深い理由があるのでしょうか。
 だれが決めたわけでもないよな
 ところで,
「小学校新入生は,ランドセルを使いなさい。」
と,言われたことがある人がいるのでしょうか。
 おそらく,だれにも言われていないでしょうし,だれもそのようなことを決めていないと思います。我が校の入学準備のための文書のどこにも書いていないのです。ただただ,みんながそうしているから,みんなが買っているから,そうしてきたというのが実態だと思います。
 さて,せっかく高いランドセルを買った(風習で買ってしまったのかもしれませんが)のですから,それを大切に使い続けるということに,子どもに育むべき価値があるのではないかと思っています。
ランドセルについてのM浦先生のメールより
 ものを大切にすることと、ランドセルはほとんどの家庭でじいばあがお祝いに買ってくれたり、父・母の小学校入学という大イベントの思いそのものが形になっているものだと私は思っています。そのことをまず子ども達に伝えることが大事だとおもうのです。自分を心から思ってくれる人が身近にいることを、子ども達に教えるべきです。2003.6.8書き加え
 ランドセル使用状況調べ
 そこで、6年生のランドセル使用人数を調べてみました。
学校名
6 年 生 人 数
ランドセル人数
利用割合
T 小
 9人(2003年3月調べ)
1人
11%
M 小
52人(2003年5月調べ)
6人
12%

 学校が違っても,偶然にもランドセル利用割合は,ほぼ同じでした。
 さて,M小でのランドセル利用割合の学年推移はどのようになっているのでしょうか。
学年
学年人数
ランドセル人数(2003年5月調べ)
利用割合
1年
49人
49人
100%
2年
57人
53人
 93%
3年
60人
49人
 82%
4年
42人
12人
 29%
5年
58人
15人
 26%
6年
52人
 6人
 12%

 この結果だけを見ると,3年生から4年生にかけて,ランドセルから他のバックに換えてしまう家庭が極めて多いということが分かります。
 そうする理由を尋ねると以下のような答えが返ってきそうです。
  ・ランドセルに道具が入りきらなくなった。
  ・ランドセルが壊れてしまった。
  ・ランドセルだと背中が汗ばむ。
  ・身体に合わなくなってしまった。
 さてさて,僕は(客観的に考えて)この理由が妥当だとは思いません。
 実は,
  ・かっこわるいと子どもが思っている。
  ・かっこ悪いと親が思っている。
  ・みんながランドセルをやめたと子どもが言っている。
  ・「みんな」がどの程度なのかを親は確かめていない。
ということのように思います。
 ところが実は,同じ学年でも学級によって3〜5人の違いがあるのです。そこには,「指導による違い」があるようです。と言っても単に「ランドセルを使いましょう」というような指導だけではないようなのです。ある学年のランドセル利用率の高い学級担任に聞いてみると,
「物を大切にしよう。という指導はしています。」
とのことです。この部分に大きなポイントがあるように思います。
 なぜランドセルなんだべ
 「ランドセルの利点をあげよ。」と,問われるならば以下のように答えます。
  1.両手が自由になり事故などに対応しやすく,「安全」な場合が多い。
  2.背中で道具を運ぶので手で同じ重量を運ぶより「楽」である。
  3.背中で道具を運ぶので大量に運ぶことが可能である。
  4.6年間毎日使ってもほとんど壊れず「丈夫」である。
  5.初期投資は高いが,6年間使えば「安い」品物である。
  6.中に入れた本などの紙製品が布製のバックよりも痛みづらい。
 山歩きをする人が肩掛けや手提げカバンは使わないことを考えると,背負うというシステムは,何よりも身体にとって楽ということだと思います。

 一方、「ランドセルの難点」は,どんなことでしょうか。
  1.重い
    1年生が背負うには,重い。
    ランドセルだけでおよそ1kgある上に学習道具の重さが加わります。
    もっとも,他のバックで勉強道具を運ぶのは,もっとたいへんです。
  2.大きい
    1年生の身体にあっていない。もっとも,身体はどんどん大きくなるので,
    この問題は徐々に解消していきます。そのうちに荷物がランドセルに入りきらなくなって,
    手に袋を持つ必要が出てきたりします。
  3.ださい
    他の人とほぼ同じデザインで,没個性と感じるのでしょうか。
  4.6年間使うと身体のサイズが合わなくなってしまうことがある。
    肩ベルトの調節が出来なくなるほど身体が大きくなってしまう子もいます。
    多くの場合は,肥ってしまう場合に対応出来なくなってしまっているようです。
  5.冬期間厚着をするので背負うのに手間取る。
 利点と難点を比べてみると,僕はランドセルを6年間使い続けることに意義を感じます。なんてったって,「物を大切に使う」ということも学ぶことが出来ますもの。
  
 北海道だけなのか
 僕が今まで勤務してきた学校では,どの学校でも高学年になるとランドセルを使用している子どもの数が激減していました。それで,1年生の時に全員ランドセルだったのが小学校高学年になるとほんの数人だけがそれを使い続けているという状況になるというのは,全国的な傾向だと思いこんでいました。ところが,どうもそうとは言い切れないようなのです。

埼玉からの情報
 我が家の長女は3月に川越市立川越西小学校を卒業しましたが、6年間ランドセルで通いました。6年生は100名以上いましたが、こちらでは、全員がランドセルを背負っていました。隣の校区の川越市立霞ヶ関北小学校(中学は同じ)や、スグそばの鶴ヶ島市立南小学校の児童も、たぶん、100%6年生までランドセルだと思います。         
徳島からの情報
 今,勤めてる学校は,全員卒業まで何の疑問もなくランドセルで通ってます。すっごくからだが大きくて高校生かなって思うくらいの体格の子が,昨年バンドにいましたけど,ランドセルを使ってました。
稲城市の状況  (2004.1.18書き加え) 
 東京都稲城市の校長先生と話をする機会があり、ランドセル使用状況を尋ねてみました。
「6年生までほとんど全員がランドセルを使い続けます。」
とのことでした。ただし、学校によって若干使用率が減ることもあるようです。
 まだまだ各地の情報が足りません。
 ランドセルの利用が高学年になると激減するのは,北海道独特の風習なのでしょうか。


 ランドセルの歴史
 ランドセルはオランダ語(ransel)が語源だそうです。ransel(ランセル)は,背負いカバンのこと。今ならリュックサックやディバックのようなもの。ということのようです。
 江戸時代末に西洋式の軍隊制度が導入された時に、背中に背負う布製のかばん「背嚢」(はいのう)も同時に輸入され、軍隊で使われはじめました。
 さて,明治10年(1877)10月に開校した皇族・華族の子弟教育のための学校である学習院は、明治18年(1885)になって生徒が馬車や人力車で通学することを禁止し、背嚢に学用品類をいれて通学させることにしました。
 明治20年(1887)になって,布製のリュックサック形態の学用品入れから,現在使われている箱形ランドセルに変わるきっかけとなる出来事があったとされています。内閣総理大臣「伊藤博文」が後の大正天皇が学習院に入学するのを祝って,特注で作らせたものが箱形のランドセルの始まりだというのです。(こういう話って,ずいぶんそれらしく語られるのですが,おそらく後の人がそれらしい人物を当てはめて創りだした,ありがたくももったいない「広告のための話」に違いないと思います。)
 もっとも,学習院からランドセルが広まっていったというのは,事実のようですが,全国的にランドセルでの通学があたりまえのように見られるようになったのは,昭和30年代(1955~)以降だそうです。それまでは都市部を中心に徐々に広まってきたランドセルですが,多くの地方では,風呂敷に学用品を包んで通学するのが一般的だったようです。

 ・「社団法人日本かばん協会ランドセル工業会・ランドセルあれこれ」
   http://www.randoseru.gr.jp/arekore.htm
 ・「僕たち、私たちの思い出のランドセル」
   http://www.itami.co.jp/randosel/index.html
 ・「小学生時代の思い出はランドセルと共に」
   http://homepage2.nifty.com/masa555satou/m3randoseru.htm
 
 全員にもれなく無料プレゼント
 小学校入学祝いに,ランドセルを新一年生全員に無料プレゼントするという自治体がいくつかあります。
自治体名
開 始 時 期
備 考
北海道 
斜里町
昭和48年にはスタートしていたと思います。今もやっているのだろうか。僕は斜里高校出身です。知床観光の町
北海道 
清里町
平成8年度からスタート。斜里の隣町です。
茨城県 
鹿嶋市
昭和52年度にスタート。今春から取りやめた可能性があります。プロサッカー鹿島アントラーズの町

清里町の教育委員会職員からメール
 清里では、町長の政策として、平成8年度から新入学児童全員に寄贈しています。当初は,おばあちゃん・おじいちゃんたちから,「お祝いに買ってあげることができなくなって困る」なんて、話もあったようですが、今は定着しています。もっともお祝いをもらうほうとしては、現金が何よりですもの。

 他にもそういう自治体があるのかもしれません。しかし,昨今の行財政改革・緊縮財政の中で,この制度の見直しが進められていることに違いがないと考えられます。

 

 ランドセル通学禁止です
 ランドセルについてあれこれ調べていると,僕には想像も出来ないことを発見しました。
 なんと,ランドセル通学を禁止した自治体があったのです。

自 治 体 名
開 始 時 期
備 考
埼玉県 富士見市
昭和44年ランドセル通学廃止現在の対応不明
広島県 府中市
昭和42年ランドセル通学廃止2003年春より復活
兵庫県 西宮市
昭和40年ランドセル通学廃止既にランドセルが復活

    http://www.city.fujimi.saitama.jp/databox/ayumi/ayu0.htm 元ページ消滅
    http://www.chugoku-np.co.jp/News/Tn03010437.html 元ページ消滅

 これは,いったいぜんたいどういうことなのでしょうか。
 中国新聞によると
 府中市教委は,受験競争の過熱を受けて約三十五年前に廃止した小学校のランドセル通学を,2003年春から復活させる方針とした。家庭に教科書等を持ち帰らせて予習・復習を勧めるのが目的。
 また,転出入時の不自由さを解消することもその理由。従来の肩掛けかばんから順次切り替えていくこととした。

 広島県府中市は,約35年間にわたって,学用品を学校に置いたままにさせて,家には持ち帰らせないために,ランドセルを禁止していたのです。
 この春(2003)から府中市教委は,「教科書を持ち帰れるランドセルを一年生から使ってもらうよう学校と保護者に呼び掛ける」のだそうです。ちなみに,今まで府中市内の全ての小学校で統一して使っていたのは,肩掛けかばん(B4サイズ、厚さ約五センチ)です。
 
 どちらにせよ,「余計なことをしているなあ」というのが僕の感想です。
 低学年はランドセル禁止
 ランドセルについてあれこれ調べていて,東京学芸大学教育学部附属小金井小学校では,低学年(1・2年生)のランドセルを廃止しているということがわかりました。    http://www.u-gakugei.ac.jp/~kanesyo/
 この学校は,国立の小学校で,ほぼ全児童が電車・バス通学で都内各所から通っているという特殊な学校のようです。そのこともこの決まりに関係深いと推測できます。
 小金井小学校公式ホームページによると,大きなランドセルを背負って通学することは、
 (1)身体の疲労
 (2)通学の安全
 (3)学習効果等
の面から望ましくないのだそうです。
 1・2年生は肩掛けカバンが指定されていて,3年生からはランドセルのようです。
 学習用具(教科書やノート等)は,学校に置いたまま(個人ロッカーが完備していると思われます)にし,肩掛けカバンには,家で必要なものだけを入れて身軽に通学するとのことです。
 どうも,他にも低学年にはランドセルを使用させないという学校がありそうな感じがしてきました。


 ランドセルの素材
 ランドセルの色やデザインは,近年多様になってきました。我が家でこの春に購入したのは,牛皮製の昔ながらの箱形のランドセルでした。色は黒で購入価格は,28,000円です。この仕様の品物が6年間問題なく使えるのではないかと考えて選びました。今年中学校に入学した息子が6年間使ってきたランドセルとほぼ同じデザイン・形・材質の物を選んだのです。
 ところが,馬皮(高級品)や牛皮を選ぶ人はそう多くないと見えて,何店も回ったのですが旭川のどのデパートや店にも見あたらず,結局,士別の西条という大型スーパーでたった1つ並んでいた品物をやっと購入できました。
 多くの店にたくさん並んでいるのは,合成皮革の品物で,色や形もとてもカラフルです。そういうものは数多く並んでいるのですが,牛皮の品物は見つけづらいのです。合成皮革の品物には,デザイナーブランドやディズニーキャラクターの物もあり,45,000円を越える値段だったりします。(安いものは9.800円)
 また,ナイロン織布(ズック製のように見える)のランドセルもあり,値段は7,000円ほどです。
 どの品物(ナイロン織布製を含む) も,多くは6年保証がついていて,もし壊れても無料(送料は負担)で修理してもらえます。
 と,考えるとどの素材のランドセルを選んでも大差がないように思います。とはいえ,学校で高学年のランドセルを眺めてみると,合成皮革の物はくたびれて見えるような気がするのは,僕だけなのでしょうか。もっとも,ランドセルの持ち主の扱いが丁寧なのかどうかも大きく影響していそうです。
 HTB北海道テレビ      2004.1.18書き加え
 HTB北海道テレビに「イチオシ」(月〜金16:50〜19:00放送)という番組があります。その番組の佐藤良諭アナウンサーから2004年 1月 11日夜にメールが届きました。
 学年が進むにつれて、ランドセルを使わなくなるということは、私も経験上知っていましたが、その裏付けとなるデータを探していました。HP上のデータは、まさにぴったりのものでした。是非、このデータ(M小学校の学年ごとのランドセル使用率)を番組で使わせていただけないでしょうか?

 メールを読んだのは12日早朝でしたが、この日は小学生55名を引率して東京都稲城市に出発する日でしたので、とりあえずデータを使っていただく承諾だけを早朝にメール返信しました。番組内での電話インタビューの計画もあったようなのでが、放送予定日が13日(火)ということで僕は稲城市児童交流のまっただ中で不可能なのでした。
 18日になって13日の放送をビデオ録画されたものが送付されてきました。僕の調査結果をグラフにし、ランドセルが使用されなくなっていく傾向を表すデータとして使われていました。

 こうしてグラフにして見ると、ランドセル利用率は4年生から激減していることが強調されます。番組によりますと、佐藤良諭アナウンサーは今年新1年入学のお子さん、もう一人の女性アナウンサーには4年生のお子さんがいるのだそうです。このグラフがこれまでランドセル利用について漠然と感じていたことを実感させたようです。
 そうそう、僕がHTB北海道テレビの番組に関係するのは、これで2回目になります。前回は「eあさ540」という番組(これも佐藤良諭アナウンサー)でT小学校のボランティア活動を紹介するコーナーに電話出演したことがあるのです。
 ホームページを公開していると面白いことが起きるものです。

 年度末になるとどうなったのかなあ    2004.3.5 書き加え

ランドセル利用割合
学年
5 月
3 月
1年
100%
100%
2年
93%
91%
3年
82%
74%
4年
29%
29%
5年
26%
18%
6年
12%
12%
 
 年度末になってランドセルの利用割合がどうなっているのかを再度調べてみました。
・1年,4年,6年生は利用率が変わりませんでした。特に1年生は3月になっても全員がランドセルを利用していました。
・2年生は片方のクラスは全員がランドセルを利用していましたが,もう一方のクラスでの利用率が若干減りました。
・3年,5年生はそれぞれ8%ずつ利用率を減らしました。

 新年度になるとどうなったのかなあ    2004.4.12 書き加え

平成15年度
  平成16年度
学年
ちょっとしたコメント
1年
100%
100%
100%
さすがにいつも100%です。
2年
93%
91%
98%
1年生末の100%をほぼ維持しています。1人だけがバックにしてしまったようです。
3年
82%
74%
81%
2年生末より10%減です。6人がランドセルをやめてしまったようです。
4年
29%
29%
53%
3年生末より20%減です。12人がランドセルをやめてしまったようです。
5年
26%
18%
12%
4年生末より17%減です。7人がランドセルをやめてしまったようです。
6年
12%
12%
18%
5年生末とかわらず11人がランドセルを使い続けています。


ランドセル利用割合 2004.4.12

 昨年度5月の調査に比べると4年生のランドセル利用割合が高いのが目立ちます。また,5年生が12%と低率なのが目立ちます。
 とは言え,ランドセル利用割合は,おおむね昨年度の傾向と同じです。しかし,昨年度末まで使い続けていた児童がランドセルをやめてしまうのは,なぜでしょうか。年度が変わるときに,子どもから保護者への働きかけやその逆があるのでしょうか。特に3年生末から4年生当初への20%減が特徴的です。学年が上がって,急にランドセルが壊れる等の不具合が起きたとは思えません。「物を大切に」の心を忘れているのは,誰なのでしょうか。とても残念に感じます。

H小学校(2005年6月調べ)
 2005年4月にM小からK市H小学校に転勤になり、さっそくランドセル使用状況を調査しました。
H小学校(2005年6月調べ)
学年
学年人数
ランドセル人数
利用率
1年
 99人
99人
100%
2年
 92人
89人
 97%
3年
137人
98人
 72%
4年
113人
41人
 36%
5年
136人
22人
 16%
6年
 99人
10人
 10%
合計
676人
359人
53.1%

 今まで調べてきた6年生のランドセル使用人数を比べても、どうやら学校が違っても同じ傾向だと言えそうです。
学校名
6 年 生 人 数
ランドセル人数
利用割合
T小
  9人(2003年3月調べ)
1人
11%
M小
 52人(2003年5月調べ)
6人
12%
H小
 99人(2005年6月調べ)
10人
10%

M小学校(2003年5月調べ)
H小学校(2005年6月調べ)
学年
学年人数
ランドセル人数
利用割合
学年人数
ランドセル人数
利用割合
1年
49人
49人
100%
99人
99人
100%
2年
57人
53人
 93%
92人
89人
97%
3年
60人
49人
 82%
137人
98人
72%
4年
42人
12人
 29%
113人
41人
36%
5年
58人
15人
 26%
136人
22人
16%
6年
52人
 6人
 12%
99人
10人
10%

 どちらの学校も各学年のランドセル利用割合の傾向は、同じだと言えます。また、3年生から4年生にかけて,ランドセルから他のバックに換えてしまう児童が極めて多いということが分かります。
H小学校2007年3月6年生アンケートより
1.ランドセルを使っている割合は、どうなっているのでしょうか。 

 6年生の2月末(2007年)になってのランドセル使用率は、12%でした。これは、今までの調査とほぼ同様の結果です。
学校名
利用割合
備 考
T小
11%
2003年3月調べ
M小
12%
2003年5月調べ
H小
10%
2005年6月調べ
12%
2007年2月調べ

2.どんな色のランドセルを使っていましたか。
 およそ90パーセントの児童が、伝統的な色(赤or黒)のランドセルを利用していました。なお、現在も使用している児童は全て伝統的な色の物を使用しています。
 このことから、長く使うのなら「赤か黒を」とも言えそうですが、データが少ないので不確かです。
人数
44人
52人
赤茶
5人
ピンク
2人
1人
 
3.ランドセルを使わなくなったのは何時なのでしょうか。
 2年生から3年生にかけて20%以上が、そして4年生になるまでに半数以上の児童が他のバックに変えてしまっています。5年生になるとランドセルを使用している児童は20%以下になり、その後卒業時にはおよそ利用率10%となります。
ランドセルをやめた時期
1年生のとき
0人
2年生になるとき
3人
2年生のとき
6人
3年生になるとき
16人
3年生のとき
17人
4年生になるとき
20人
4年生のとき
17人
5年生になるとき
9人
5年生のとき
4人
6年生になるとき
0人
6年生になってから
2人

4.だれの考えなのでしょうか。
 卒業までランドセルを使い続ける児童の38パーセントは、親の考えで使用継続していると答えています。一方、使っていない児童の95%は、自分の考えで使用中止したと答えています。このことから、児童の持ち物等に関して、保護者の意向がそれほど反映されずに子どもの言いなりになっていることが多いのではないかと推測するのは、大胆すぎるでしょうか。
使っているのは誰の考えか
使わなくなったのは誰の考えか
自分
8人
自分
91人
5人
6人

5.なぜランドセルをやめたのでしょうか。
理     由
複数回答
道具が入りきらなくなったから
57人
身体に合わなくなったから
39人
みんながやめたから
38人
かっこわるいから
29人
ランドセルがこわれてしまったから
10人
なんとなく
2人

 使わなくなった理由で最も多いのは、「道具が入り切らなくなった」(57人)でしたが、他のバック等でも同様な状況になったと思われます。
 「みんながやめたから」(31人)、「かっこわるいから」(25人)との答えが正直なところだと思われます。
 また、「身体に合わなくなった」(34人)とのことですが、6年生になっても使い続けている児童がおよそ10%いることも考えると「合わない」ということは、物理的な条件ではないと思われます。
 一方、「壊れた」(9人)とあるが多くのランドセルメーカーは「6年間無料修理サービス」を行っていることから、「こわれたら修理せずに捨てる」という使い捨て文化がうかがえるのではないでしょうか。

6.なぜランドセルを使い続けているのでしょうか。
理     由
複数回答
卒業まで使うものだから
10人
ものを大切にするため
8人
なんとなく
3人
べんりだから
2人

 使い続けている理由として最も多いのは、「卒業まで使う物だ」(10人)であり、「物を大切に」(8人)と合わせて、利用継続の大きな理由です。
 
7.自由記述欄(2007年3月6年生アンケート)より
 
・ランドセルは小学校の間は必ず用いる物だと思っていた。
・ランドセルをやめようと思っても、とてもやめられず、思い出のあるものなので、中学校に入るまでは使いたいと思う。それなのにみんなはなぜやめるのか、自分にとってはせつなく感じる。
3兄弟の為、親の考えで大切にランドセル1つを3人に使用させる為(現6年生には使わせていない)
長男 2年間
次男 2年間
三男 現在(三年生)も使用中〜 卒業までランドセルを使わせる予定です。
私は3年生の時にリュックにしました。今思えば4年生のときまではランドセルを使えばよかったなと思いました。私は身長が小さいので、まだランドセルがピッタリだし、ランドセルは値段が高いので少しショックです。
今思えば、こんなりっぱなカバン(ランドセル)を今も使っておけば良かったと思いました。
ランドセルの色を赤と黒だけじゃなくて、もっといろんな色を出せばみんな使ってくれると思います。(今、お店とかで討っているピンクや青などの色をおすすめするなど)
たしかにランドセルは高学年の人には、数人ぐらいしかいない。1年〜6年は成長して合わなくなるし、みんなが使わなくなっていたし、新しいのがほしくなった。
でかくてじゃま。見た目がださい。
ランドセルは道具が入りきらないから不便だし、小さいから身体に合わなくなっていて、大きい人は使えない。
ランドセルの中というか、もっと物が入るようにしてほしい。
ランドセルはあんまし物が入らないけど、せっかく買ったんだから6年間きちんと使った方がいいと思うし、6年間使うために色とかも親が考えてくれたので使っています。でもクラスで3人しか使っていないし、ちょっとはずかしいです。
ランドセルはふつうのカバンよりじょうぶ。
使ってくるうちに、上の方がくさって個室とつながる。
クラレの調査によると
 多くのランドセルメーカーが使用しているランドセルの素材(クラリーノ)を製造販売している 株式会社クラレは、1999年からクラリーノランドセル購入者を対象に アンケート調査 を実施し、その結果を公表しています。その項目の一つに、「近所の小学生が何年生ぐらいまでランドセルを背負って通学しているのか」を問う項目があり、『2009年「ランドセル」購入者アンケート』を見ると、約7割が 6年生(75.7%)までランドセルを背負って通学しているとの結果になっています。
6年生使用率
2009
75.7%
2008
69.5%
2007
67.5%
2006
72.5%
2005
62.0%
2004
65.0%
2003
59.4%
2002
65.0%
2001
61.5%
※この表はクラレ調査結果を再構成したものです
 僕の調べでは、6年生の使用率は約10%です。このクラレの結果(75.7%)との違いが際立ちます。やはり北海道独特の使用率低下現象と言えるのかもしれません。クラレさんには、是非、地域毎の使用率状況を分析していただければと願います。
この項目2008.10.30書き加え
2009.2.24書き換え(2009調査)
ランドセル研究倶楽部報告(2008年10月)
 2008年4月に全校児童31名のW小学校に転勤しました。これまでの研究成果の一端をPTA広報誌特別号(それぞれの保護者も文章を書くことになっている)に掲載することにしました。

 小学校に勤務していて、自分が小学生の時と大きく異なるのではないかと感じていることがいくつかあります。そのうちの一つがランドセルの使用状況です。小学校卒業まで、全員がランドセルを使い続け、中学校入学の時に手提げカバン(図1)を買って貰う。というのが私の経験です。それが勤務校の子どもたちを見ていると、学年が上がるといつのまにかランドセルが他のバック等になってしまうことが多いのです。小学校に勤務して28年目になりましたが、なんとなく感じていることが実際にはどうなっているのかを5年程前から調べ始めました。

(図1)
 私がこれまで勤務してきた学校では、高学年になるとランドセルを使用している子どもの数が減っていました。M小(図2)とH小学校(図3)を見ると、4年生になると激減し、6年生になると10%程の利用率になるのが分かります。このことは、北海道のほとんどの学校で起きていることのようです。
 実はランドセルを利用する児童数が激減するということは全国的な傾向ではありません。少なくても関東以西の小学校では、小学校卒業まで全員ランドセルを使用するというのは、ごく普通のことなのです。小学校入学の時に、様々な思いを込めて用意したランドセルを6年間大切に使い続けることは、とても重要なことです。
 W小学校(図4)を見ると、子どもたちの多くが高学年になってもランドセルを使い続けていることが分かります。これは、私の今までの勤務校の傾向と若干異なります。とても素晴らしいことです。
 さて、ほとんど全てのランドセルは、無料修理サービスを受けられます。我が家の高校3年生になった息子のランドセルは、5年生の時に修理サービスを利用して6年間使いました。6年間使用することを前提に製造されたランドセルを卒業まで大切に使うということに、子どもに育むべき価値があるのではないかと思っています。
M小学校(2003年5月調べ)
H小学校(2005年6月調べ)
W小学校(2008年10月調べ)
  学年人数ランドセル人数利用率学年人数ランドセル人数利用率学年人数ランドセル人数利用率
1年
49人
49人
100% 99人
99人
100%
9人
9人
100%
2年
57人
53人
93%
 92人
89人
97%
6人
6人
100%
3年
60人
49人
82%
137人
98人
72%
3人
2人
67%
4年
42人
12人
29%
113人
41人
36%
2人
1人
50%
5年
58人
15人
26%
136人
22人
16%
7人
5人
71%
6年
52人
 6人
12%
 99人
10人
10%
4人
2人
50%
合計
318人
184人
57.9%
676人
359人
53.1%
31人
25人
80.6%
各校
使用率

M小学校(図2)

H小学校(図3)

W小学校(図4)

= メ モ =
 2008年10月調べの現在勤務校(全校児童数31名)のものは、「高学年になるにつれてランドセル利用率が減少する」という顕著なデータとは言い切れないものです。これは、低学年時の担任の指導(※1)があったので利用率がそれほど減少していない学年(5年)があることや、データとして母数(全体の数)が少ないことが原因の一つだと思われます。
(※1)現5年生は、低学年の時の担任(大阪出身)が使い続けなさいという強い指導をしたとのことです。
この項目2008.11.20 書き加え
他の小規模校の場合
 平成20年(2008)11月に本校と同様の小規模校の教頭先生にランドセルの使用状況を調べて頂くことが出来ました。
H2小学校(2008年11月21日調べ)
在籍児童数
ランドセル使用数
 
 男子女子合計人数
使用人数
男子
使用人数
女子
合 計割 合
1年生
3
6
9
3
6
9
100%
2年生
2
5
7
1
5
6
86%
3年生
3
2
5
2
2
4
80%
4年生
3
3
6
0
1
1
17%
5年生
5
2
7
0
0
0
0%
6年生
4
5
9
0
0
0
0%
合 計
20
23
43
6
14
20
47%
 これまでの調査に比べると、5年と6年の使用率が0%なのが目立ちますが、4年生になると使用率が大きく下がるというのは、これまでと同様の傾向であるといえそうです。
 また、この調査では、男子が先にランドセル使用を止めているということが分かります。これまでは、性別の利用状況について調査してこなかったので、この結果が一般的な傾向なのかどうかは、現在のところ不明です。
2008.11.22書き込み

http://www1.ocn.ne.jp/~hhisashi/
(C)HIRAIDE HISASHI

  2003.5.30
  2003.6.1改訂
  2003.6.8書き加え
  2004.1.19部分改訂・書き加え
  2004.3.1書き加え
  2004.3.5書き加え
  2004.4.12書き加え
  2005.06情報書き加え
  2007.03月情報書き加え
  2008.10.30書き加え
  2008.11.20書き加え

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