女満別での2学期制の取り組み女満別町2学期制の仕組み2学期制に関する私考学校事務職員と2学期制職員の感想1(平成15年7月)職員の感想2(平成15年10月)2学期制試行の取り組みの意図2学期制資料

女満別町での2学期制の取り組み

女満別町での2学期制の取り組み

〜新たな切り口での学校改善をめざして〜

 女満別小学校では,平成15年度に2学期制を試行した。この取り組みは,校長のリーダーシップの元,全職員の総意による取り組みであった。今年度(平成16)4月からは,女満別小学校の取り組みを受け,町立幼稚園を含み全ての学校での2学期制が実施されている。*1
 これは(1)平成14年度より,土曜日が完全に休日となり平日における5時間授業や6時間授業が増えて放課後にゆとりがなくなった。(2)学校行事が,旧教育課程下で実施していた時期,内容やスタイルとほぼ同様に展開されていて多忙感を募らせていた。(3)これまでの3学期は,40日ほどと短くなった期間中に学期末や年度末の評価や諸業務そして行事を行わなければならなく多忙であった。という児童や職員に取っての多忙感を改善し,子どもたち1人1人に確かな学力と豊かな心を育むための方策として始まったことである。
 そこでは,1年間の教育活動が2学期制になることにより,3学期制で固定化していた教育課程を大きく見直し,1年間という長期間において児童生徒を育んでいくプランを確立していくことが重要なポイントとなる。
  *1  女満別高等学校は平成15年度より2学期制実施

1 2学期制試行の意図

 ◎ 教育課程の趣旨を実現する女満別教育の創造

 ・児童生徒一人一人に 基礎・基本を確実に身に付けさせる指導の充実

 ・児童生徒一人一人に 成長の喜びを実感させる教育活動の創意工夫

 ・教職員一人一人に 教育活動への喜びをもたらすゆとりの創出

(1)新教育課程では5,6時間授業が増えて、児童会活動や放課後活動にゆとりがなくなったが、各学期が100日ほどの長い授業日数となる2学期制によって、年間を通したゆとりを生み出すことができる。
(2)旧学習指導要領及び学校6日制時代に実施していた学校行事が、ほぼ同様に計画・実施されていて窮屈なことから、その見直しや検討を図る。 *2
(3)通知票(あゆみ)の評定を1学期と2学期の2回にすることにより、学習(評価)期間が100日ほどになって絶対評価の意義が生かされる。 *3
(4)一つの学期がなくなることで、始業式と終業式が減ったり、当日の時数カットがなくなったりすることや、評価週間が一回減ることで、年間授業時数を増やすことができる。
(5)評価業務のなくなった7月と12月がこれまで以上にゆったりでき、行事の時期や持ち方及び内容を見直せる。また、夏季及び冬季休業前に児童への個別指導週間を設定して、学習や生活の在り方をふりかえり、有意義な休みの過ごし方に向けた指導・支援ができる。
(6)夏季休業及び冬季休業期間中に、4 7月と10 12月の間における学習結果について評価業務ができ、1学期末及び2学期末の評価業務にゆとりをもたらすことができる。
(7)新教育課程が目指す確かな学力(学ぶ意欲、思考力、判断力、表現力、知識・技能)の育成には、学習期間の長い2学期制がふさわしい。

  *2 学校6日制時代より約40日間減っている。これは3学期がそのままなくなったに等しい。
     ○完全6日制時代(246日)  ○月1回6日制時代(235日)
     ○月2回5日制時代(223日) ○完全5日制時代(205日)
  *3 40日ほどに減った3学期では、絶対評価の意義が薄い。教科によっては、少ない授業時数であるにもかかわらず無理に評価しなければならない弊害が生じている

2 仕組み

(1)3学期制との違い    2学期制の仕組み参照

(2)施行上の留意点
  ・1年間の授業日数は変えない。
  ・1学期と2学期の間に秋休みをおく。
  ・通知票(あゆみ)は,年2回の発行とする。
  ・夏季(冬季)休業日を2日減らして,秋休みに繰り入れる。*4
  *4 今年度未実施  

(3)平成15年度の日程
 【1学期】4月 7日(月)〜10月7日(火)112日間
 【秋休み】10月8日(水)〜10月13日(月)6日間
     * 8日(水)は開校記念日
     * 9日(木),10日(金)は夏休みから2日を移行
     * 11日(土),12日(日),13日(月)は体育の日
 【2学期】10月14日(火)〜 3月24日(水) 96日間

(3)平成16年度の日程
 【1学期】4月 6日(火)〜10月7日(木)109日間
 【秋休み】10月8日(金)〜10月11日(月)4日間
       * 8日(金)は開校記念日
     * 9日(土),10日(日)
     * 11日(月)は体育の日
 【2学期】10月12日(火) 3月24日(木) 96日間

3 メリット

(1)各学期が100日程の長い授業日になることで,年間を見通した学校行事や児童会活動を計画することが可能になる。
(2)長期休業前の時期も落ち着いた学習活動に取り組むことができる。
(3)長期休業に向けた児童への個別指導週間を通して,それまでの学習や生活の在り方を振り返らせ有意義な休みの過ごし方に向けた指導・支援体制をとることができる。
(4)通知票(あゆみ)の評定を3回から2回にすることにより,学習期間が100日程になり絶対評価の意義が生かされる。
(5)始業式・終業式・評定業務が各1回ずつ減り,年間授業総時数が増え従来より時数に余裕が生まれる。(本校の場合は,9時間程度)
(6)基礎・基本を確実に身に付けさせる指導の充実のための時間を設定することができる。(スキルタイム 10時間)
(7)各長期休業中にそれまでの学習結果について評価業務を実施できることにより,学期末(9月及び3月)の評価業務に余裕をもたらすことができる。

4 地域父母の理解のために

(1)学校便りに「来年度2学期制を試行」という記事を掲載する。(1月)
(2)学校便りに「先進校での2学期制の成果」という記事を掲載する。(2月)
(3)新1年生1日入学説明会において学校便り(1,2月)を配布・説明する。(2月)
(4)PTA常任理事会で概要説明する。(2月)
(5)参観日学級懇談において資料配付・説明する。(2月)
(6)PTA常任理事会で詳説する。(3月)
(7)学校便りに再度「平成15年度は2学期制試行」という記事を掲載する。(3月)
(8)学校便りの「女小教育活動の概要」の中で2学期制試行について説明する。(4月)
(9)新一年生・転入生向けの2学期制試行についての解説を配布する。(5月)
(10)夏期休業前に個別指導週間(児童向け)を実施(7月)
(11)夏期休業前の学校だよりで2学期制について触れる。(7月)
(12)冬季休業前に個別指導週間(児童向け)を実施(12月)
(13)2学期制についてアンケート(学校評価)実施(2月)
(14)アンケート(学校評価)結果配布(3月)
(15)「2学期制導入の試行と成果について」を配布(3月)


5 委員会活動日の設定

(1)活動時間の設定に苦慮していたが,年間9回の設定で従来よりゆとりある活動を保証することができる。

6 スキルタイムの創設 

(1)年間授業総時数が増え従来より時数に余裕が生まれたので,月1回45分のスキルタイム(読み・書き・計算を中心とした学習)を創設する。

7 長期休業期間前の個別指導週間の創設

(1)長期休業前に評定業務がなくなり教師にゆとりが生まれたので,その時期に児童への個別指導週間を設定し,1日につき2 3名の児童個々に学習や生活の指導や支援を行う時間を創設する。
(2)それまでの児童一人一人の学習や生活を振り返り,長期休業中の学習や生活の仕方を児童と共に考え,指導支援し長期休業終了後の学期のまとめの時期につなげ,そして生かす。

8 成果


(1)きめ細かな指導が3学期制よりも可能になり,子どもたちへの確かな学力の保証・豊かな心づくりの充実が図れた。
(2)子どもたちは2学期制に戸惑いも見せず,柔軟に対応し,教師とのふれあう時間も増え,安定した気持ちで落ち着いた生活が送れた。

 子どもの変容


 ・学力の保証(学力テストの向上)→ 教師の工夫と子どもの努力
 ・基礎・基本の定着       → 時数の増加・場の設定
 ・きめ細かな指導        → 教師とのふれあい
 ・おちついた生活の確保     → ゆとりある心


 【学力の保証と心の余裕の獲得】

 教師の意識改革と変化


 ・年度当初の学級づくりや児童理解・学習週間の確立にじっくり取り組むことができる。
 ・大きなスパンで見通しを持ち活動構想の計画をたてることができる。
 ・7月12月に評価業務がないため,時間的なゆとりが生まれ,学習・生徒指導を充実させることが出来る。(追い込み型の授業や評価のための授業がなくなる)
 ・1学期の終了が1年間の折り返し点となるため,教育課程の実施状況や学級経営等の評価がしやすく,2学期の目標や手だてが明確になる。
 ・夏季冬季休業中にそれまでの実践の反省,これからの授業と評価の準備ができる。
 ・夏季冬季休業が学期の途中に入るため,指導の継続性を意識することができる。
 ・長いスパンで子どもたちの変容をとらえることができ,子どもの成長・発達に適切な働きかけができる。
 ・従来の3学期の過密さや慌ただしさが減り,充実したものにできる。


 【教師のきめ細やかな指導の充実】

 学校の変化

 ・授業時数の増加(10時間程度)
 ・7月8月12月1月の生活が落ち着いた教育活動を確保できる。
 ・夏季冬季休業が学期に繰り込まれることにより,学びの連続性を確保できる。
 ・7月12月に大きな行事を組み込むことができる。
 ・学習の基礎基本の定着を図ることができる。(自学タイム・スキルタイムの設定)
 ・従来の3学期(1〜3月)を充実することができる。
 ・2学期制の方が,子どもたちの基本的な生活習慣の形成・確立にじっくり取り組める。
 ・クラブ活動や児童会・委員会活動・教科書は前期・後期で2学期制に合っている。

 【学校の暦が代わり,時間的・精神的に余裕】

9 今後の課題

(1)2学期制を生かした新教育課程の趣旨を実現する女小教育の創造すること。
  ・教師が2学期制に慣れ,時間を有効に遣い,見通しを持った教育活動や分かる授業を実践
  ・長期休業の位置づけ,長期休業中の課題の与え方の工夫
(2)旧学習指導要領及び学校6日制時代から引き続き実施されているの学校行事の見直しや検討をすること。
  ・発想の転換
(3)児童会活動の見直しや検討をすること。
(4)なおいっそう,地域や保護者への2学期制の理解を深めること。
(5)夏・冬休み前に学期の区切りをつけあゆみ(通知票)を発行するという,従来からのリズムが変化することに対する保護者の不安感の解消を図ること。
  ・長期休業前の個別指導週間・参観日・家庭訪問等の持ち方や内容の充実
  ・評価・評定の明確化と保護者への公開
(6)幼稚園・中学校との連携を図ること。
(7)町内行事との関連・調整等を図ること。

10 おわりに

 平成 15年春に女満別小学校に赴任して1年余りが過ぎた。この間を振り返ると,やはり2学期制の試行が大きな出来事である。平成14年の秋からの職員への説明と共通理解,そして父母への説明と順を追って進めてきたのだが,面々と続いてきた3学期制という学校の習慣を大きく変える取り組みであり,特に保護者がこの変容を受け入れるということには,まだまだ不十分な点があった。(通知票の発行回数が3回から2回へと減るという事への抵抗感は強いものであった。)一方,児童に視点を当てると,長期休業を挿んでの学習に連続性が見られ,確実な基礎基本の獲得に益するものが大であったと考える。
 なおいっそうの保護者の理解が必要ではあるが,この2学期制の取り組みは,学校改革の手段の一つとして今後あちらこちらの学校に広がっていくことに違いないと確信する。先駆けての取り組みを進めている我が校は,これからも2学期制を生かした教育課程の編成を推進していかなければならない。
 その道は険しいものであろうが,まず子どもに視点のある学校であり続けることを念頭に保護者・地域そして教職員が一体となり明日の女満別を創り出す子どもを育んでいきたいと考える。

(C)平出 寿

女満別町2学期制の仕組み 

1. 平成13年度 女満別町立女満別小学校(年間授業日数223日)

*第1第3土曜日は授業日。

3学期制

1学期
 
81日)




(25)

2学期
 
95日)




(25)

3学期
 
47日)

2. 平成14年度 女満別町立女満別小学校(年間授業日数205日)

*完全週5日制実施となり年間授業日数が大幅減となった。

3学期制

1学期
 
75日)




(25)

2学期
 
86日)




(25)

3学期
 
44日)

3. 平成15年度 女満別町立女満別小学校(年間授業日数208日)

*2学期制試行
*6日間の秋休みを設定した。10月8日は開校記念日、9−10日は夏休みから2日を移行、11(土),12(日)13日は体育の日

2学期制

1学期



(6)

2学期

4/7
 112日)
 
7/26




(23)

10/7

8/17

10/14
96日)
12/27




(25)

3/24

1/20

4. 平成16年度

女満別町立女満別小学校(年間授業日数205日)
*4日間の秋休みを設定した。10月8日は開校記念日、9(土),10(日)11日は体育の日。

2学期制

1学期



(6)

2学期

4/6
 109日)
 
7/23




(23)

10/7

8/18

10/12
96日)
12/24




 (25)

3/24

1/19

女満別町立豊住小学校

2学期制

1学期



(3)

2学期

4/6
 109日)
 
7/23




 (24)

10/1

8/17

10/5
96日)
12/24




 (25)

3/24

1/19

女満別町立女満別中学校

2学期制

1学期



(3)

2学期

4/6
 109日)
 
7/23




 (25)

10/1

8/18

10/5
96日)
12/24




 (24)

3/24

1/19

(C)平出 寿 

2学期制に関する私考

  私の勤務する女満別小学校は、2学期制を行って2年目を迎えています。実際に2学期制の中で仕事をしていて感じたこと、考えたことをまとめてみました。

1 長 所

(1)指導と評価の一体化を図った授業づくりを行いやすい

 長期休業前までの評価をもとに、単元の構成や授業の構築を行い、基礎・基本を定着させるための指導を意識しやすくなりました。3学期制では、あゆみ提出前までに授業を終え、評定をした後に個別指導等がなされることが多いため、その成果が反映されにくかったのではないでしょうか。

長期休業前までの評価

評価の整理・分析

授業の改善・個別指導の実施

1学期の評定

(2)長期休業中の学習計画の指導が具体的になる

 ある程度の評価が行われて長期休業に入るため、学習計画を具体的に立てさせやすくなりました。「算数のくり下がりのある引き算を練習しよう」「水泳で練習したふし浮きを、夏休みに練習してみよう」という計画を立て、学びの補充や強化が行われます。3学期制では、「だめだったところの練習」が多かったのが、2学期制では「〜ができるようになった」という形で評価されることが多くなります。

(3)学校生活の連続性

 (1)(2)とも関連しますが、長期休業中の学習はその後の学習活動でも教師が確認し評価することになります。例えば夏休みが開けておよそ1ヶ月の間に、評価なり指導なりが行われます。子どもがそれぞれ「〜をがんばってできるようになった!」という思いを持ち、1学期を終えることが増えると思います。その後の秋休みは短いので、すぐに2学期が始まります。

2 短 所

 授業等の実務上、2学期制による大きなデメリットはほとんどありませんでした。もちろんあゆみの書式変更などの作業はありましたが、それも最初の大変さであり、毎年のものではないでしょう。強いて挙げれば、次のようなことがあります。

(1)保護者への啓蒙の難しさ

 これまでは3学期制が当たり前だったので、大きな変革と捉えられることが多く、説明し理解していただくまでが少々大変でした。「あゆみが2回になるのは不安」「なぜ3学期制ではだめなのか」などの他に、秋休みは農繁期になるので、「子どもが家にいたら困る」という声もありました(2年目の今年は、秋休みが短くなっています)。しかし、子どもたちはそれほど大きな変化とは捉えていないのが現実だったようです。

3 その他(疑問など)

(1)中学校と小学校の意識

 極めて個人的な考えですが、2学期制は小学校より中学校が熱心に進めるべきだと考えます。理由は、子どもたちの人生にとって大きな意味を持つ受験です。そこに、反映させるべき3学期の評定は、冬休み明けすぐに行われる学年末テストの結果が大きく影響する場合もあると聞きます。指導が為されて評価→評定のはずが、ほとんど授業もなく評定となるような気がします。また、絶対評価が行われる今日、より客観性のある評価が求められるべきではないでしょうか。そのためにも、中学校が率先して行い、小中の連携を考え2学期制が進んでいくものだと考えます。

(2)学校教育全体を見通して

 2学期制は授業時数の確保のために行うという考えもあります。実際に授業時数は少し増えます。標準時数の確保も叫ばれています。

 実際の学校は、生活指導や友人とのトラブルなどで授業が思うように進まない場合もあります。だからと言って、その生活指導をおろそかにしたり、友人関係のトラブルをよりよく解決させないまま学習だけを進めたりすることはできません。欧米諸国と違い、「躾」や「食育」「性教育」等も学校教育に大きな期待がかかっています。

 一方では学力低下論があり、「確かな学力」を定着させることが求められ、「心の教育」の充実が叫ばれ、中学校では部活動もあります。学校週5日制の器の中に入るものが徐々に増え、その質も向上させなさいと言われています。

 子どもたちは6時間授業が増えていますが、児童会活動や行事も一生懸命に体を動かして行います。行事の精選をすると、地域からそれを残念がる声が上がります。先生方は、学芸会等の練習時間をどのように確保しようかと頭を悩ませます。中教審答申では、行事の意義と在り方を再確認しようと言っています。

 子どもたちは、先生方の呼びかけに一生懸命に応えようとがんばっています。でも、その姿は、少し忙しそうで、疲れがたまってきているなと感じてしまう時もあります。

 2学期制は授業時数の確保ではなく、「子どもたちが学校で何をどのように学んでいくか」という視点から考え、その「たくさんある方策のうちの1つ」と考えるべきだと思います。ただ、3学期制よりは現在の2学期制の方が子どもたちに学ぶゆとりができているのではないかと思っています。2学期制を行ったからよしとするのではなく、その中でどのような教育活動を展開していくかを模索することが重要だと考えます。【2004年6月9日】

            (C)藤井正樹 

学校事務職員と2学期制

 1 はじめに

 平成15年度より女満別小学校において2学期制が試行されました。2学期制試行に至った経緯や意図など、私は次のように理解しています。ゆとり教育の中、学校週5日制になって子どもたちに家庭や地域で過ごす時間が増えました。でも、学校ではどうでしょう。

・5・6時間授業が増え、放課後の児童会活動や学校行事の準備の時間などが制限されてしまいました。

・子どもたちも教師もゆとりがなくなってしまいました。

 そこで目を向けられたのが2学期制です。終業式・始業式、授業を短縮して行われる学期末の評価週間など学期末業務を1回減らせばそこに教師の業務の軽減化を図ることができ、子どもたちにも授業時間を確保することができます。授業時間が数時間増えるだけですが、ここに子どもたちにも教師にもゆとりが生まれるのです。

 はたして1年の試行期間を経て女満別小学校は・・

2 子どもたちや教師の動き

 普段の子どもたちの動きや教師の動きについては、これといって変わった点は見られませんでした。子どもたちは今までどおりの学校生活を送っているし、教師も多忙な毎日を送っていることに変わりはありません。この普段どおりのまま夏休みや冬休みに入っていくという感じです。しかし、そのような中、次のようなことに気がつきました。

 まず、通知表の更正、印刷までの業務の多忙化が解消されたのではないでしょうか。今までは7月初旬には完成していなければならず、通知表の更正など運動会の時期と重なっていましたが、9月までに完成していればよく、夏季休業中からゆっくり取り組むことができたのではないでしょうか。

 次に成績・評価の業務についてですが、2学期制は学期の途中に長期休業を挟んでいますので、その期間にある程度ゆっくり準備を進めることができたのではないかと思います。いずれも、業務を長期休業中に行うことによって多忙化を解消し、ゆとりを生むことができたように思われます。

 子どもたちにとっては、夏休み、冬休みとも通知表をもらわず、親に成績について言われなくてすむのでその辺のゆとりはあったかもしれません。 

3 事務職員の動き

 事務職員として何か変わったか?と言えば正直、何も変わってはいません。職種柄、学校の中でも実感の無い一人かもしれません。(みんなはあるのかな・・・)

 財政財務活動の観点から見ると、学芸会が10月から11月になり、予算編成時期と重なってしまったことがあげられるかもしれません。そこで私は予算編成の取り組みを夏休み明けの9月からはじめ、学芸会前には校内提案を終わらせています。学芸会の会計業務、伝票処理も遅滞することなく行うことができました。

  2学期制とは話がずれますが、ゆとりを生むひとつの手段として、夏季休業日・冬季休業日最後の職員会議があります。夏季休業中の職員会議に9月から12月までの行事の提案をし、冬季休業中の職員会議には1月〜3月までの行事の提案をします。ここで1日かけて十分に検討されるため、各月の定例職員会議は行事の確認だけ済み、会議がスムーズに進みます。遅い時間まで会議することもありませんし、途中で打ち切り別の日を設定して授業時間をカットすることも無くなりました。ゆとりを生む手段としては、非常に有効的と感じています。(実感もあります)

4 おわりに(ゆとりってなんだ?)

 2学期制について妻と話をしたのですが、妻は2学期制について「夏休み前や冬休み前にテストだ、参観日だ、B日課だ、というバタバタ感がなくなった。」「子どもたちを見てもらえる時間が増えた。」ということで良かったと言っています。「なるほどな〜」と思いました。

 学校では教師の多忙化によりゆとりが無く、子どもたちを見る時間が減っているのかも知れません。昨今、児童に関わる事件を耳にしますし、ゆとりを持って子どもたちを見る時間を確保する、という意味で2学期制は有効なのかなと感じています。

 学校にゆとりを持たせるという観点で事務職員の役割とは何でしょうか。子どもたちにゆとりを持たせるための事務職員の役割、教師にゆとりを持たせるための事務職員の役割を改めて考えさせられます。

                 (C)田中泰宏

職員の感想1    (平成15年7月)

2学期制試行をどう感じていますか?

2学期制試行夏季休業前の感想などを自由に記述

夏季休業前の時期に評価週間がなくなって,ゆとりができたと思います。さて,どうお感じですか?

・「あゆみ」の提出がない分,学習指導や評価に基づく指導を行うことができた。

・より充実した夏休みを送らせるための指導を行うことができた。

・結局は,上記2点へ向けての準備等を行うために,放課後も作業することが多い。これは,教師自ら行っていることであるのだが,「ゆとり」という語が子どもに関しては,当てはまると思います。子どもは,最後まで学習活動があり,大変と感じる面もあるかと思いますが,しっかりと基礎・基本を身に付けていくことが後々のゆとりへとつながることもあるでしょう。

・特に国語や漢字学習・算数の計算等について時間をとることができた。

・スキルタイムや個別指導週間の準備もあり,それなりに仕事はあるように思います。

*総合的な学習の時間の活動

・ゆったりとした活動ができる。

・夏休みを総合の追究活動にもっていくこともできる(活動を連続させることができる)

[課題]

・2学期制にふさわしい題材の設定が必要。(総合の再編成も必要?)長くじっくりとりくめるテーマ

*教科は余裕があるものとそうでないものの差が大きい。(教科書の問題ですね。)

余裕あり 国語 算数

余裕なし 社会

・ゆとりができたはずなのに毎日残業が続いています。どうお感じですか?なんちゃって。

「ゆとりができたから」という名分のもと,個別指導・・スキルタイム・・を導入し(ちなみに,家庭にアピールしすぎです),その時間保障は何もなし。もちろんB日課もなくなりました。「ゆとり」を感じられるほどのゆとりはないのが正直なところです。

PS.でも,通知せんを作成する業務がこの時期になくなったことは,やはり大きなことだと思います。

評価のための授業(スピード授業やテスト等)は,確実に減ったことで7月いっぱい腰をおちつけて授業できています

・2週間分ゆっくり学習がすすんでいるのでよいが,この3ヶ月の間のいろいろな行事が多く,あとにあとに学習がのびてきている感じがする。なので「ゆとり」といえるのか疑問であるが,評価期間が今あったら,きっと首がまわらなくなっている気がするので,やはり「ゆとり」があるのかな・・・。という感じです。

個別指導週間を初めて設定していますが,実際に取り組んでみてどうお感じですか?

・今までも似たようなことはやってきたので,特に感想はありません。指導のときに「あゆみ」を持つか教務手帳を持つかの違いです。

・子どもとゆっくり話したいが,話す時間が満足にとれない。昼も放課後もわたわたとすぎていく。時間がほしいです

その他お気づきのことなど

・評価の作業がすくない分を教育相談にあてることができた。

・2学期制の試行期間なので,もう少し早めに親等への説明文章等を出し,確認及びPRをするべきではなかったでしょうか。

・9月にどういった学校生活を送れるかがポイントだと思います。(教師,子どもも含めて)

・秋休みのおさえと過ごさせ方が見えてこないです。

・地域への理解が課題ですね。

職員の感想2   (平成15年10月)

 2学期制試行をどう感じていますか2

(職員アンケート)

1.個別指導週間、夏季休業、1学期再開、評価と流れが大きく変わりました。さて,どうお感じですか?

・個別指導週間で、一人一人の子どもとじっくり話ができたと思います。

・夏休みに弱点克服のために家で学習してきた子が多かった。

・個別指導週間

時間が足りなかった。一斉というなら個別指導週間などと大きくうたわず、○日としたほうが私としてはすっきり。個別にゆっくりとやるのなら、それこそB日課などにして、ゆっくり話せる放課後の確保が必要だと強く感じた。

・評価

夏季休業におこなえるところもあったので、いつもよりはすこしラクちんでしたが、勉強がおわらないので大変でした。

・個別指導週間

今年度は親の不安もあり、少しでもそれを取り除くためにも良かった。ただし、時間の保障は不可欠だと考えます。来年度は年間行事予定表に入れるのはやめていいと思います。

・夏季休業

全く変化がないと思います。これまでと何ら変わらない。

・1学期再開

休み明けに始業式がないのは、ちょっと違和感があったが、これは慣れだと思います。

・評価

所見が1回分減ったが質的にも量的にも特に目減りはしていないので、父母から疑問が出されたときは、ていねいに説明していけばよいと思います。

・「ゆとり」が生まれた感じは少ないと思います。

・自分は専科になりましたので、変化を感じ取るのは難しいと思います。

・物理的には時間が空いたはずですが、その分時間はきちんと使っているのでしょうか。行事の精選をより進めていく必要もあるかなと思います。

・わかば学級担任なので普通学級とくらべて大きく感じはしないが、評価作業の軽減が一番ではないだろうか。

・実質的には、夏休みの2日が秋休みとなっただけなので、そんなに変わったという実感はない。

評価は今のところ1回ずつで(大変さのみを考えると)時期がずれただけという感じです。1年間たつと、ちがう感想になるのでしょうが。ただ、思ったよりも子どもも私も違和感はありませんでした。

・個別指導週間については、学校としてもっと考える必要があると感じます。現状では、親へのアピールという意味が強い気もします。

・「夏休みに何を自分の課題として生活するか」という点では、1年生にとっては考えることが難しく、また、多くの子が学習進度ではおおよそ問題がないので、課題の設定が困難でした。

・1学期終了・再開については、子どもたちは違和感なく入れたと思います。

・夏季休業の過ごさせ方について、時間をとって指導することで、例年以上に何をするべきかを各児童に伝えることができたのではないかと思います。また、そのことによって、夏季休業後に評定が上がった児童が何人もいました。低学年の学習内容は特に基礎・基本と言えるものが多いからかもしれませんが、「確実な定着」という観点から考えてもよかったのではないかと思います。

・試行1年目ということもあり、様々な面でとまどいがあったかとは思いますが、それは仕方のないことだと思います。メリット・デメリットを整理した上で、保護者や地域にも示し、その中のメリットを理解していただく努力が今後も必要ではないかと思います。

・児童に関しては、2学期制にかんするとまどいはほとんどなかったように感じています。どちらかというと、教師側の取り組みのとまどいがそのまま各保護者に反映してしまった感があります。

・夏期休業中の業務として,評価がかなりできてとても良かったと思う。また,水泳などの休みをまたいで授業を行わないとならないものも,ゆっくり指導ができ,休み中の課題も持たせられたので良かったと思う。

・はじめの1年間は,個別に指導(児童と家庭に)をしなければ,休み中の学習や生活課題について見通しを持たせられないかもしれないが,来年からは1年生以外,独自の方法(各学級や学年)で知らせていく方法もあるのではと考えられる。

・秋休みについても6日間ぐらいが妥当であり,「家庭にかえす」という学校の考えと,「中・幼との休みがあわない」とする家庭の思いとのちがいから,そう考える。

1年が過ぎると,きっとみんなも「そんなものだ!」と思うのでしょう。

・親の立場として,長期休業前に行う個別指導の内容を教えてほしいと強く思いました。休み中に苦手なところを勉強させるのに,子どもの自主性だけではとても不安でした。

2.現段階で感じられているメリット・デメリットをご記入下さい。

・子どもの成長ぶりをじっくり評価でき良かった。

・あゆみの回数が減った分、家庭との連絡をしっかりとる必要があると感じた

メリット

 休み中に評価にとりかかれるので、すこしはよかった。

デメリット

 「ゆとり」なんて、ありませんでした。スキルタイム、読書、毎日の放課後のつかい方(月・水は放課後なし)、ぎちぎちでした。

*今もよその学校に「2学期制っていい?」と聞かれるが、「うん。すばらしいよ。」と言えるほど、よくわかってないのが現状です。

メリット

・夏休みギリギリまで教科書をふつうに進める授業ができること。

・評価期間のB日課体制が1回分少ないので時数に余裕ができること。

・学期末の忙しい時期(夏休み前)ということでさけていた集会活動等を休み前に入れやすくなった。

デメリット

・管内でも初めての取り組みということでの保護者の不安感。でも一年たてば慣れると思うけど・・・。

・2学期制の1学期と3学期制の1学期がまぎらわしいので、前期・後期と呼ぶようにしたらよいと思う。

・教務手帳を2学期制に合ったものにしてほしい。

・通知票を作る時間は余裕ができたように感じます。

・デメリットは特にありませんが、学校外の行事等(マラソン等)の日程等の確認やすり合わせが必要になるかと思います。

メリット

・夏休み前に評価がないので、余裕のある中で夏休みの課題作りができる。

・評価期間が2回なのがいい。(特に3学期の短期間の評価がなくなったのがいい)

・夏休み中に評価作業ができる。

デメリット

・呼び方で、夏休み前と夏休み後から1学期終業式までがどちらも1学期なので、分けて言う時の呼び方の統一性がない。

どちらも大きなメリット・デメリットは感じていません。

メリット

・夏休み前のゆとり、とくに授業時間を評価にとられなくなったのはよかった。

・評価期間が長く、子どもの見取りの面では、3学期制よりやりやすさを感じた。

デメリット

・親の理解

・教務手帳、スキル等、3学期制になっているものが多少使いづらい。

・1学期、2学期のけじめをつけさせる必要がある。

・夏休み前後で呼び方が難しい。

メリット

・評価にかかわる学校全体のあわただしさがなく、夏休み前に落ち着いた生活ができた。

・夏休み前の暖かい時期に校外学習や水泳学習に力を入れることができる。

・秋休みを入れることでリフレッシュするはず。

デメリット

・秋休みに家庭で1人過ごす子もいるかと思う。

・1学期2学期のけじめ。

メリット

・先にも書いた、評定までの時間が長くなったことにより、個別の定着を図ることができるようになった。

・評価の業務を、夏季休業中にある程度進められたことで、評価業務に若干余裕があったと思います。特に、生活科の評価をじっくりと行うことができたのがよかった。また、休業中の評価を元に、秋休み前に支援体制を考えることができた。

・休業前の1週間も、児童は落ち着いた雰囲気で学習活動に取り組んでいた。秋休み前も、これまでと比べると児童は落ち着いて学習活動に取り組むことができていたと感じている。

・短い秋休みを設定したことにより、12学期の連続性を保ちつつも一区切りを付け、新たな気持ちで学校生活を始められる。

デメリット

・兄弟関係を考えると、幼稚園・中学校と同じペースにならないのは、保護者も戸惑うところでしょう。町内的な動向も明確にし、保護者に伝えていくべきと考えます。

・児童が感じるデメリットは少ないのではないでしょうか。あとは、保護者の理解度が上がることが重要です。「仕事があるのに」等の意見は、きっと「先生方があゆみの作業を減らすためにやっているのだ」という程度の理解しかされていないのだろうなぁと感じます。児童のゆとりや、基礎・基本の確実な定着という「児童にとっての」メリットを明確に伝え、理解してもらわなければいけないと思います。

メリット

・教師として評価の回数が減るということは,とてもうれしいことです。それと同時に評価期間でのB日課週間そして評価のためのテストが集中してしまうことなどが少し解消され,その分,ゆっくり学習ができたこと。

デメリット

・ゆとりを生むはずがゆとりができずに,放課後子ども達と遊ぶことすらもできない状態が続いている。スキルタイムは予備時数だと,クラブを多くすると時数に影響するので,やはり「ゆとり」と口にできない。何よりも,子ども達の放課後遊んでから帰るということができず,授業が終わり,帰りの会をするとすぐ下校というのは,とてもかわいそうです。

3.その他 課題等を含めお書きください。

・スキルタイムを(国・算)の教科にする。

・読書タイム  2回は多い? 少ない?

       週5日のうちの2日。

       学級での取り組みに支障があった。        → 週1日で十分ではないか。

・親としては「あゆみが楽しみ」という面があるかと思います。単に「できれば3回見たいなあー」と思っている親が多い中で、メリットを打ち出した啓蒙が必要と思います。

 

2学期制試行の取り組みの意図

2学期制試行の取り組み 女満別町立女満別小学校 教頭 平出 寿

 女満別小学校では,平成15年度より2学期制の試行を始めた。これは,校長のリーダーシップの元,全職員の総意による取り組みである。

1 仕組み

   〜

2 メリット

(1)各学期が100日程の長い授業日になることで,年間を見通した学校行事や児童会活動を計 画することが可能になる。

(2)長期休業前の時期も落ち着いた学習活動に取り組むことができる。

(3)長期休業に向けた児童への個別指導週間を通して,それまでの学習や生活の在り方を振り返 らせ有意義な休みの過ごし方に向けた指導・支援体制をとることができる。

(4)通知票(あゆみ)の評価を3回から2回にすることにより,学習期間が100日程になり絶 対評価の意義が生かされる。

(5)始業式・終業式・評価業務が各1回ずつ減り,年間授業総時数が増え従来より時数に余裕が 生まれる。(本校の場合は,9時間程度)

(6)基礎・基本を確実に身に付けさせる指導の充実のための時間を設定することができる。(ス キルタイム)

(7)各長期休業中にそれまでの学習結果について評価業務を実施できることにより,学期末(9 月及び3月)の評価業務に余裕をもたらすことができる。

3 地域父母の理解のために

1)学校便りに「来年度2学期制を試行」という記事を掲載する。(1月)

(2)学校便りに「先進校での2学期制の成果」という記事を掲載する。(2月)

(3)新1年生1日入学説明会において学校便り(1,2月)を配布・説明する。(2月)

(4)PTA常任理事会で概要説明する。(2月)

(5)参観日学級懇談において資料配付・説明する。(2月)

(6)PTA常任理事会で詳説する。(3月)

(7)学校便りに再度「平成15年度は2学期制試行」という記事を掲載する。(3月)

(8)学校便りの「女小教育活動の概要」の中で2学期制試行について説明する。(4月)

(9)新一年生・転入生向けの2学期制試行についての解説を配布する。(5月)

4 委員会活動日の設定

(1)活動時間の設定に苦慮していたが,年間9回の設定で従来よりゆとりある活動を保証するこ    とができる。

5 スキルタイムの創設

(1)年間授業総時数が増え従来より時数に余裕が生まれたので,月1回45分のスキルタイム(読 み・書き・計算を中心とした学習)を創設する。

6 長期休業期間前の個別指導週間の創設

(1)長期休業前に評価業務がなくなり教師にゆとりが生まれたので,その時期に児童への個別指 導週間を設定し,1日につき2〜3名の児童個々に学習や生活の指導や支援を行う時間を創 設する。

(2)それまでの児童一人一人の学習や生活を振り返り,長期休業中の学習や生活の仕方を児童と 共に考え,指導支援し長期休業終了後の学期のまとめの時期につなげ,そして生かす。

7 今後の課題

(1)2学期制を生かした新教育課程の趣旨を実現する女小教育の創造すること。

(2)旧学習指導要領及び学校6日制時代から引き続き実施されているの学校行事の見直しや検討 をすること。(発想の転換)

(3)児童会活動の見直しや検討をすること。

(4)なおいっそう,地域や保護者への2学期制の理解を深めること。

(5)夏・冬休み前に学期の区切りをつけあゆみ(通知票)を発行するという,従来からのリズム が変化することに対する保護者の不安感の解消を図ること。 

新たな切り口からの学校改善をめざして  〜 女満別町での2学期制への取り組み

1 はじめに

 女満別小学校では,平成15年度に2学期制を試行した。この取り組みは,校長のリーダーシップの元,全職員の総意による取り組みであった。今年度(平成16)4月からは,女満別小学校の取り組みを受け,町立幼稚園を含み全ての学校での2学期制が実施されている。  これは

(1)平成14年度より,土曜日が完全に休日となり平日における5時間授業や6時間授業が増えて放課後にゆとりがなくなった。

(2)学校行事が,旧教育課程下で実施していた時期,内容やスタイルとほぼ同様に展開されていて多忙感を募らせていた。

(3)これまでの3学期は,40日ほどと短くなった期間中に学期末や年度末の評価や諸業務そして行事を行わなければならなく多忙であった。という児童や職員に取っての多忙感を改善し,子どもたち1人1人に確かな学力と豊かな心を育むための方策として始まったことである。  そこでは,1年間の教育活動が2学期制になることにより,3学期制で固定化していた教育課程を大きく見直し,1年間という長期間において児童生徒を育んでいくプランを確立していくことが重要なポイントとなる。

2 2学期制にデメリットはあるのか

 日本の教育システムに染み付いている1年間を3つに分けるという3学期制を1つの学期がそれぞれ100日程度となる2学期制に転換して行くには,職員や保護者に根強い抵抗感がある。この抵抗感は,職員に於いては(1)システム変更への準備の大変さへの警戒感。(2)保護者の理解を得るための2学期制実施後の業務負担増への警戒感。であり,保護者に於いては,(1)通知票が長期休業前にもらえなくなり,休みの過ごさせ方への不安。(2)従前にはなかった秋休みが出現し,その期間の過ごさせ方の心配。等によるものと考える。これらの事柄が2学期制のデメリット(心配や不安)と言える。

 2学期制を約1年半実施してきて,児童に於いては,(1)きめ細かな指導を受け,確かな学力・豊かな心づくりがなされた。(2)2学期制に戸惑いを見せず柔軟に対応し,教師との触れ合いの時間が増え,安定した気持ちで落ち着いた生活が送れた。教師に於いては,(1)学びや学習に連続性を図れた。(2)指導と評価の一体化を図った授業づくりが出来た。(3)長期休業の指導が具体的に出来た。などの「ゆとり」に裏打ちされた成果が見られた。一方,保護者の一部には,(1)長期休業前に通知票がないのは不安である。(2)秋休みの過ごさせ方が不安である。という感想が見られた。  以上のことを総合的に判断すると,2学期制というシステムには,明確なデメリットと言えるものは何もないと断言出来る。確かに取り組む前には心配や不安な要素があるが,それらの事柄は,2学期制にたくさんのメリット(7月・12月にゆったりと授業が出来る。時数に余裕が出来る。等)があるということから,実施をためらう理由にはなり得ないと考える。

3 おわりに  平成15年春に女満別小学校に赴任して1年余りが過ぎた。この間を振り返ると,やはり2学期制の試行そしてその実施が大きな出来事である。平成14年の秋からの職員への説明と共通理解,そして父母への説明,それと平行しての通知票の改訂作業や学校行事等の見直し等の事務作業を行ってきた。これらは面々と続いてきた3学期制という学校の習慣を大きく変える取り組みであり,特に保護者がこの変容を受け入れるということには,まだまだ不十分な点があった。保護者の一部は,子どもの姿を通して感じることの出来る2学期制のメリットを明確に感じ取ることが出来なかったり,教師が楽をするための2学期制開始だという誤解をしていたりするのである。  保護者の理解をなお一層深めていくことは,今後も課題となるが,学級担任をはじめとする職員や児童は,違和感無くこのシステムを受け入れ,大きな成果をあげている。この2学期制の取り組みは,学校改革の方策の一つとして今後あちらこちらの学校に広がっていくことに違いないし,実施されるべきと確信する。先駆けての取り組みを進めている我が校は,これからも2学期制を生かした教育課程の編成を推進していかなければならない。  その道は険しいものであろうが,まず子どもに視点のある学校であり続けることを念頭に保護者・地域そして教職員が一体となり明日の女満別を創り出す子どもを育んでいきたいと考える。 

女満別教育の創造を目指す二学期制の取り組み   〜「まず子どもありき」の姿勢で学校改善の第一歩を〜

 二学期制は,ゆったりとした時間の流れを創り出しじっくりと子どもを育てる発想と実践である

1,はじめに

 平成14年度から完全学校週5日制,新学習指導要領が実施となり,学校においては,これまでの私たちの意識や考え方を根本から考え直さなければ,これまでの教育活動を維持することが極めて厳しい状況になりました。 一年間の授業日数を例に考えてみると,学校が週6日間授業が行われていた時には,年間授業日数は246日ぐらいでした。そのあと,月一回の土曜日が休日になった頃は235日,月二回の5日制の時は223日,そして,完全学校過5日制になってからは205日程度です。これは,3学期分の授案日数(約40日程度)がなくなったこととほぼ同じことになります。 ですから,今までの枠組みのなかで同じように考えていくことは極めて難しく,私たちには創意工夫が求められているところです。現在,子どもたち1人ひとりに「確かな学力の確保」と「豊かな心の育成」は大きな課題となっており,本校でも日々,実践に努めているところです。 そこで,本校としてはこのような状況の中,一年間の学校全体の教育活動の内容や時間の流れを見直し再設計を図り,学校全体にゆとりをうみだすことが必要ではないかと考えました。これは「子どもたちに時間的,精神的にゆとりある教育活動を実現させたい」「子どもたち1人ひとりに自ら学び,自ら考える学習活動を展開したい」というのが私たちの願いでした。そのための方策の一つが,この二学期制の実践でした。 この二学期制は,私たちが意識せずに,あたりまえになっている習慣(4月に始まり,7月下旬に通知表を持って夏休みに入り,8月に二学期が始まり,12月の下旬に通知表を持って冬休みに入り,1月に三学期が始まり,3月に通知表をもらって学年を修了する)を大きく変える100年以上続いたシステムにチャレンジするものです。 このチャレンジは,平成14年度より,学校完全五日制と新学習指導要領での実践により,時間の余裕がなくなり,40日程短くなった期間中に評価や諸業務を遂行しなければならず多忙であった。という子どもたちや私たちの多忙感を解消し,子どもたち一人ひとりに確かな学カと豊かな心を育むための方策の一つとして始まったことです。 そこでは,一年間の教育活動が二学期制になることにより,三学期制で固定化していた教育課程を大きく見直し,一年間という長期間において子どもたちを育んでいくプランを確立していくことが重要なポイントとなります。 尚,平成16年度からは,町立女満別幼稚園・豊住小学校・女満別中学校が二学期制に踏み切り,平成15年度から導入している本校と女満別高校と併せて,全町で二学期制の中での教育活動が営まれています。

2,二学期制試行の意図

 ◎教育課程の趣旨を実現する女満別教育の創造

  ○子ども一人ひとりに,基礎・基本を確実に身に付けさせる指導の充実

  ○子ども一人ひとりに,成長の喜びを実感させる教育活動の創意工夫

  ○教職員一人ひとりに,教育活動への喜びをもたらすゆとりの創出

1)新教育課程では,56時間授業が増えて,児童会活動や放課後活動にゆとりがなくなったが,各学期が100日ほどの長い授業日数となる二学期制によって,年間を通したゆとりを生み出すことができる。

2)旧学習指導要領及び学校6日制時代に実施していた学校行事が,ほぼ同様に計画・実施されていて窮屈なことから,その見直しや検討を図る。

3)通知表(あゆみ)の評定を一学期と二学期の2回にすることにより,学習(評価)期間が100日ほどになって絶対評価の意義が生かされる。

4)一つの学期がなくなることで,始業式と終業式が減ったり,当日の時数カットがなくなったりすることや,評価週間が1回減ることで,年間授業時数を増やすことができる。

5)評価業務の無くなった7月と12月がこれまで以上にゆったりでき,行事の時期や持ち方及び内容を見直せる。また,夏季及び冬季休業前に子どもへの個別指導週間を設定して,学習や生活のあり方をふりかえり,有意義な休みの過ごし方に向けた指導・支援ができる。

6)夏季休暇及び冬季休暇期間中に,4月〜7月と10月〜12月の間における学習結果について評価業務ができ,一学期末(9月)及び二学期末(3月)の評価業務にゆとりをもたらすことができる。

7)新教育課程が目指す確かな学力(学ぶ意欲,思考力,判断力,表現力,知織・技能)の育成には,学習期間の長い二学期制がふさわしい。

3,仕組み

 〜省略〜

4,二学期制にデメリットはあるか

子ども,教職員の様子を見ていますと,二学期制の実践は,課題や工夫することは多々ありますが概ね順調で支障や違和感を感じることはほとんどありません。今年度に入ってからは,ごく自然に学校の暦にこの二学期制が位置づいたものと思います。 しかし,教育システムを大きく変える二学期制に転換していくには,「100年以上続いた制度を大きく変える不安」「現状を肯定する古い体質」「未知なることへの不安や戸惑い」があります。 教職員には,(1)システム変更への準備の大変さへの警戒感。(2)保護者の理解を得るための二学期制実施後の業務負担への警戒感。(3)前年度踏襲というマンネリ打破への警戒感。があります。 保護者においては,(1)通知票が長期休業前にもらえなくなり,今までの週間への違和感や休み中の過ごさせ方への不安。(2)従前にはなかった秋休みが出現し,その期間の過ごさせ方の不安等があります。これらの事柄が二学期制へのデメリット(不安や心配)と言えます。 本校が二学期制を一年余り実施してきて,子どもにおいては,(1)ゆとりの中で,よりきめ細かな指導を受け,確かな学力・豊かな心づくりが確実になされてきた。(2)二学期制に戸惑うことなく柔軟に対応し,教師とのふれあいの時間が増え,安定した気持ちで落ちついた生活がおくれた。教師においては,(1)学びや学習の連続性(長期休業中の)が図れた。(2)指導と評価の一体化を図った授業づくりができた。(3)長期休業中の指導が具体的に出来た。(4)長期休業中に評価事務を行えた。などの,「ゆとり」に裏打ちされた成果が見られた。一方保護者には,より以上に教育活動を公開し子どもの姿を通した,啓蒙・説明を積み重ねることによって,二学期制の良さを少しずつ浸透させていくことが私たちの大きな課題であり責務である。 以上のことを総合的に判断すると,二学期制というシステムには,明確なデメリットと言えるものは何もない。確かに新しいものへ取り組む不安や心配な面はあるが,それらの事柄は,二学期制にたくさんのメリットがあることから,そして,こどもの安定した生活の姿から,実施をためらう理由にはなりえないと考える。

5,学校・教師の変化が手どもを変容させる(成果)

(1)学校の一年間の暦が変わり,きめ細かな指導が3学期制よりも可能になり,子どもたちへの確かな学力の保証・豊かな心づくりの充実が図れる。

(2)子どもたちは二学期制に戸惑いも見せず,柔軟に対応し,教師とのふれあう時間も増え,安定した気持ちで落ち着いた生活が送れる。

子どもの変容            

・学力の保証(学力テストの向上)

?教師の工夫と子どもの努力            

・基礎・基本の定着         

?時数の増加

・場の設定            

・きめ細かな指導          

?教師とのふれあい              

・おちついた生活の確保    

?ゆとりある心

【学力の保証と心の余裕の獲得】

教師の意識改革と変化

・年度当初の学級づくりや児童理解

・学習週間の確立にじっくり取り組むことができる。

・大きなスパンで見通しを持ち活動構想の計画をたてることができる。

7月・12月に評価業務がないため,時間的なゆとりが生まれ,学習・生徒指導を充実させることが出来る。(追い込み型の授業や評価のための授業がなくなる)

・1学期の終了が1年間の折り返し点となるため,教育課程の実施状況や学級経営等の評価がしやすく,2学期の目標や手だてが明確になる。

・夏季冬季休業中にそれまでの実践の反省,これからの授業と評価の準備ができる。

・夏季冬季休業が学期の途中に入るため,指導の継続性を意識することができる。

・長いスパンで子どもたちの変容をとらえることができ,子どもの成長・発達に適切な働きかけができる。

・従来の3学期の過密さや慌ただしさが減り,充実したものにできる。

【教師のきめ細やかな指導の充実】

学校の変化

・授業時数の増加(10時間程度)

・7月・8月・12月・1月の生活が落ち着いた教育活動を確保できる。

・夏季冬季休業が学期に繰り込まれることにより,学びの連続性を確保できる。

・7月・12月に大きな行事を組み込むことができる。

・学習の基礎基本の定着を図ることができる。(自学タイム・スキルタイムの設定)

・従来の3学期(1〜3月)を充実することができる。

・二学期制の方が,子どもたちの基本的な生活習慣の形成・確立にじっくり取り組める。

・クラブ活動や児童会・委員会活動・教科書は前期・後期で二学期制に合っている。 【学校の暦が変わり,時間的・精神的に余裕】  

6,今後の課題

1)教師の意識改革・共通理解・共同歩調・創意工夫

  ・学期制を生かした新教育課程の趣旨を実現する女小教育を創造すること。

  ・教師が二学期制に慣れ,時間を有効に使い,見通しを持った教育活動や分かる授業の実践をすること。(子どもの学びの向上に努める)

  ・長期休業の位置づけ,長期休業中の課題の与え方の工夫すること。

  ・学校行事・児童会活動等の検討や見直しをすること。

2)保護者・地域への理解と啓蒙

 長期休業前に通知表(あゆみ)を渡さないことに対する保護者への不安感の解消を図ること。

   個別指導週間・参観日・学級懇談会の内容の充実に努める。    評価・評定への明確化と保護者への公開    日常の授業・生徒指導に対する信頼感を得ること。  

 ・幼稚園・中学校との綿密な連携を図ること。  

 ・町内行事の関連・調整を図ること。

7,おわりに

「二学期制」は,決して目新しさや「はじめに二学期制ありき」ではなく,あくまでも新しい女満別教育の創造,それは,教育目標実現の一つの手だてであると思います。そのことが,学校のシステムの変化となり,教師の意識改革,学校改善につながっていくものと考えます。従って,三学期制を単に二学期制にするだけでは何も変わりません。職員の意識が変わってこそ二学期制の効果があらわれます。  保護者においては,面々と続いてきた三学期制という学校のシステムを大きく変わることへの受入れはまだまだ厳しいものがあります。そこで,子どもたちがゆとりの中で,落ちついた生活や基礎・基本の確実な定着という「子どもにとっての変容のメリット」をしっかり伝え,本校の教育目標である『学びづくり心づくり・体づくり』の着実な変容を通して,二学期制の良さを浸透させていくことが,保護者や地域の方々の理解を深め,信頼を得ていくことになると考えます。 この「二学期制」は,今後各学校に広がっていくものと考えます。本校としては,二学期制を生かした教育課程の編成の推進を軸に,保護者・地域を含む学校全体で子どもたちを支えていく環境づくりが大きな鍵を握るものと考えます。 その道は険しいものであろうが,「まず子どもありき」の姿勢で「生きる力」を育む真摯な教育実践の積み上げを続けることが重要です。これからも子どもに視点をあてた学校であり続けることを念頭に保護者・地域そして教職員が一体となり,明日の女満別を創りだす子どもたちを育んでいきたいと考えます。 

2学期制資料

2学期制試行に向けた資料              平成14年11月22日

1 2学期制試行の意図  ゆとりを標榜して実施された新教育課程であるが、土曜日が完全に休日となったことによって、平日における5時間授業や6時間授業が増えて、放課後にゆとりがなくなった。また、学校行事が、旧教育課程下で実施していた時期、内容やスタイルとほぼ同様に展開されていることも多忙感を募らせているものと思われる。  特に3学期は、40日ほどと短くなった期間中に学期末や年度末の評価や諸業務を行わなければならないことからこれまで以上の多忙さが予想される。  そこで、1年間の教育活動を2学期制という区切りにすることにより、3学期制で固定化していた教育課程を見直し、1年間という長期間におけるゆとりや自由度を吟味することで、本来新教育課程が目指していたゆとりが創出されるものと考える。

2 2学期制実施の全国的な状況

(1)仙台市    市立の小学校122校、中学校63校の全校が、今年から2学期制。

 ・1学期は、4月1日から10月の第2月曜日まで

 ・1学期と2学期の間に5日間の秋休みを設置。

  市教育委員会の談話・・・1学期の成績評価や通知表づくりがなくなったので夏休みを迎える子供たちに、そのすごし方を含めて教師がじっくりと課題などを指導できるようになった。

(2)金沢市 平成14年度から4校で試行し、平成16年度から、小・中学校で2学期制を実施する。

(3)静岡県 島田市で4小学校、静岡市で2中学校、藤枝市で1小学校、焼津市で1小学校

(4)大阪市 小・中学校428校で2学期制の導入を検討している。数校を指定して研究している。

(5)北海道 札幌市・・・小学校209校中99校で自主的に実施 東川小学校、中標津中学校、士幌中央中学校、陸別中学校、豊頃中学校、

3 2学期制のメリット、デメリット

(1) メリット

a)1年間を2つの区切りでわけ、ほぼ100日間という長い期間のもとでの学習ができる。

b)授業日数は3学期制と同じだが、ひとつの学期が減ることで ・始業式、終業式が1回ずつ減り、時数が2〜4時間増える。 ・通知表作成の業務がひとつ減ることで、先生方に相当なゆとりができる。 ・評価週間が一つ減ることによって、3年〜6年で時数が1〜2時間増える。また、B日課をしなくてよくなり、その分のゆとりも生まれる。 ・夏休み前と冬休み前に、学校全体として大きなゆとりが生まれ、休みに向けた事前指導がゆったりできる。

c)7月と12月に設置していた学校行事の時期を見直したり、諸活動がゆったりできる。 ・サマー集会  ・ワイワイ祭り  ・児童会の活動  ・放課後の活動にゆとり ・新たな校外学習の可能性  ・総合の活動にも新たな展開の可能性

d)7月の学習活動と夏休み、12月の学習活動と冬休みを連動させることができる。

e)1学期と2学期の間に秋休みを設定して、気分の転換を図られる。

f)0日足らずの短い3学期の多忙さを解消できる。

(2) デメリット(不安や心配)

a)通知表が2回になることで、保護者に対する学習や生活の状況のお知らせが1回減って、不安を与えないか。・・・休み中の課題を出す際に、個々の子供向けに簡単なコメントをあげることで解消されるであろう。

b)子供達や先生方の気持ちの切り替えがうまくいくか。

c)秋休みの設置で、共働き等の家庭における保護者の精神的な負担が増えないか。・・・年間の休みの日数は変わらない d)女満別中学と夏休みで2日間、冬休みで1日間ずれるが支障はないか。・・・給食センターの作業がずれるくらい、これは今までも中学校の冬休みが小学校とずれていたので問題はない。  

3 平成15年度の試行に向けて

(1)今後具体的には、2学期制への試行に伴う各部の課題等をもちよって運営委員会で協議し、冬休み中の職員会議で結論を出し、通知表の改訂とも連動させながら試行に向けた体制を整えていく。 

(2)保護者向けには、3学期に入ってから学校便りで少しずつ情報を流して、理解を図っていく。

(3)最終的な試行決定のお知らせは、3学期末に行う。

(4)保護者に対する説明会は、4月の参観日かまたはPTA総会の折に行う。

*来年度PTAの総会と参観日は別々に実施したい。そうすれば、授業参観後の学級懇談への参加が増えることが予想される。

《大まかな見通し》

  1学期・・・4月7日(月)から10月7日(火)

  2学期・・・10月14日(火)から3月25日(木)

  ・夏休み 7月29日(火)から8月20日(水) ・・・2日間カット

  ・秋休み 10月8日(水)から10月13日(月)・・・6日間

  ・冬休み 12月26日(月)から1月18日(日)・・・1日カット

  ・春休み  3月26日(金)から4月6日(日)

平成15年度・2学期制の試行について                   平成14年12月24日

1 2学期制試行の意図

(1) 新教育課程が実施され、5,6時間授業が増えて、児童会活動や放課後活動の多忙さが生まれたが、2学期制によって年間を通したゆとりができる。

(2) 学校行事が、旧学習指導要領及び学校6日制時代に実施していた時期、内容、スタイルとほぼ同様に計画・実施されていることから、その見直しや検討を図る。

(3) 評価を1学期と2学期の2回にすることにより評価業務を緩和するとともに、絶対評価の意義が生かされる。(40日ほどに減った3学期の評価に重みがなくなっている)

(4) 7月と12月が、これまで以上にじっくり・ゆったりでき、夏季及び冬季休業前に、児童への指導を充実することによって、有意義な休みに向けた支援ができる。

(5) 新教育課程が目指す総合的な学力(学ぶ意欲、思考力、判断力、表現力、知識・技能)の育成には、学習期間の長い2学期制がふさわしい。

(6) いずれ全国的に2学期制に移行していくことは必定。したがって、早く取り組むことが上策である。

  ◎ゆとりの中で、新教育課程の趣旨を実現する女小の教育の創造

  児童一人一人に 基礎・基本を確実に身に付けさせる 指導の充実

 ○児童一人一人に 成長の喜びを実感させる 教育活動の工夫

 ○教職員一人一人に 教育活動への喜びをもたらすゆとりの創出

2 2学期制の法的根拠

女満別町学校管理規則 20条2項: 校長は、教育上特に必要があると認めるときは前項の規程にかかわらず

        2学期とすることができる。 25条3項: 校長は、教育長の承認を得て、10以内に限り、他の時期に休業日を設

      けることができる。 25条の3項にかかわっては、平成141212日(木)の教育委員会議(教育長も教育委員の一人)において了承されたことで、「承認を得た」といえる。

3 2学期制の区切り

【1学期】 4月7日(月)〜10月7日8火)

【2学期】 1014(火)〜3月24(水)

夏休み〉 7月26(土)〜8月17(日) 23日間

秋休み〉 10月9日(木)〜1010(金) 2日間

*8日()の開校記念日と11(土)、12(日)、13(祝日・体育の日)を合わせると、6日間の連続休業となる

冬休み〉 1227(土)〜1月20(火)25日間

年度末・学年始休業日〉 3月25(木)〜4月5日(土)___学校管理規則第25条

4 2学期制試行に向けた検討事項

(1) 教務部

a)全校参観日の実施の仕方      低・中・高別か全校一斉か 【今年】(4月:全校)(7月:別々)(12月:全校)(2月:別々)   

   *春のPTA総会は、参観日と別途の日に実施の方向へ

b)家庭訪問(5月) 

    ・実施するかどうか、実施するとしたら今年の問題点をどう改善するか。

・実施しないとしたら代替に何を行うのがよいか〜個人懇談週間の設置など

c)合同修学旅行(9月)

d)知能検査、学力検査(12月) 「ワイワイ祭り」がずれれば、中旬へ下げられるか。

e)「あゆみ」の様式を2学期制へ改訂

(2) 生活部

a)「ワイワイ祭り」    総合の学級テーマともかかわるが、の時期を12月上旬から下旬へか、または思い切って9月へ移す。

(3) 文化部 a)学芸会  

  ・実施期日を11月へずらす

(4) 保体部

a)運動会の実施期日

b)タテ割班清掃を1学期、2学期にあわせる

(5) 研修部

a)研修日の設定回数を増やせるか

(6) 総務部

b)避難訓練     春に火災訓練、秋に地震訓練

《参考資料》

仙台市立東2番町小学校の実践成果(平成12年度より2学期制を導入)

(1) 新学習指導要領が目指す「学びの連続性」を保障できる。

a)カリキュラムの連続性(1年間を見通した教師のカリキュラムデザイン力)

 *教育課程の編成の工夫がしやすくなり、学習の進め方に余裕

b)学ぶ意欲の連続性(自分事としての学びの意味づけ・解決過程の学ぶ喜び)

c)課題意識の連続性(教師との対話による解決見通しのある課題設定)

d)課題解決過程の連続性(問題解決型の学び方の積み上げ)

e)評価の連続性(途中経過の評価の累積)

(2) 7,12月にゆとりのある教育活動が展開できる。

a)学期末評価のための教科学習の圧縮(あわてた授業)がなくなり、余裕を持  ってのびのびと授業ができた。

b)教科書の上巻、下巻が無理なく進展する。

c)これまで無理だった校外学習やゲストを招いての活動ができるようになった。

d)7月と12月の学習が、夏、冬休みに入る直前まで充実して行えた。また、  その学習を休み中にも連続させることができ、休み明けの1日目から普通の  リズムで学習に入れた。

(3) 年間を見通したロングスパンの単元構成ができ、児童の成長が捉えやすい。 (夏、冬休み前までにという縛りがなくなった)

(4) 長期にわたって調べ学習をする教科や活動を中核に単元構成をする「総合学   習」では、「長いサイクルでじっくりと学習する機会が取れる」と相性がよい。

(5) 評価作業にゆとりができた。

a)夏、冬休みに1、2学期の通知票のあらかたを作成できる。

b)7月、12月の個別面談が評価の中間整理になる。

c)3学期制の時よりも児童の評価情報を多く収集でき、よさをとらえやすい。

(6) 放課後にゆとりができて、子どもたちとの触れ合いや個別指導時間が取れる ようになった。

(7) 教職員に「精神的なゆとり」、「時間的なゆとり」がもてたことで「児童をみ   るゆとり」が生まれた。

(8) 秋休みによって、精神的・身体的なゆとりが得られた。

(9) ゆとりが生じたからといって行事を増やすことはせず、子供達との触れ合い   や個別指導の時間確保に回した。

(10) あわせて、行事や会議の合理化にも努めた。

2 その他、全国の先進諸学校の取組から

a) 長期休業前に子供達に対する学習相談を行った。

b) 保護者対象に年2回の教育相談を設定した。

c) 保護者と個別指導計画を共有し、共に評価しあっている。

d) 2学期制の方が、余裕を持って子供の成長について指導・観察できる。

e) 長期休業前と後ろのメリハリがなくなるのではという保護者の心配は、「子供達はすぐに慣れ、混乱はなかった」ことで解消された。

f) 年間を通して行事の配置にゆとりが生まれた。

g) 始業式、終業式、評価業務のための時間短縮などが減って、授業時間数が増加した。  

h) 長期休業前に、休み中につながるよう保護者との教育相談や児童生徒との懇談 〜学校での様子と長期休業中の過ごし方、過ごさせ方〜

i) 授業時間数が確保され、ゆとりある授業や学校行事などが行えている。

j) 保護者の心理的な不安を解消するために、十分な説明を行った。

k) 通知票が3回から2回に減ることに対する保護者の不安(学習の出来具合)に対して、2学期制でも大丈夫という説明をしっかりする。

l) 一部に、「長期休業と学期の区切りがズレ、リズムがよくない。」、「1学期と2学期の境があいまい。」、「子供の学校での様子を知る機会が減る。」との批判があった。

☆各部でおおよそを検討していただき、15年度の年間行事予定表に入れ込み、2月の職員会議   で全体の見通しが分かる原々案を提示することができればと願う。

〔教育の扉 6〕 3学期制から2学期制への試行にチャレンジ   新教育課程の趣旨を生かすための工夫・改善 会 長  中 村  保(女満別小学校長)

 本校では、来年度2学期制を試行することにした。校長自らがリーダーシップを発揮し、先生方の賛同を得ての決断であった(管内では初めての試みであろう)。その経過等を記して、参考に供したい。

1 2学期制試行の意図 ◎ ゆとりの中で、新教育課程の趣旨を実現する女小教育の創造     ○ 児童一人一人に 基礎・基本を確実に身に付けさせる指導の充実     ○ 児童一人一人に 成長の喜びを実感させる教育活動の創意工夫     ○ 教職員一人一人に 教育活動への喜びをもたらすゆとりの創造

(1) 新教育課程では5,6時間授業が増えて、児童会活動や放課後活動にゆとりがなくなったが、各学期が100日ほどの長い授業日数となる2学期制によって、年間を通したゆとりを生み出すことができる。

(2) 旧学習指導要領及び学校6日制時代に実施していた学校行事が、ほぼ同様に計画・実施されていて窮屈なことから、その見直しや検討を図る。

参考 *学校6日制時代より41日間減っている。これは3学期分がなくなったに等しい 完全6日制時代(246)  ○月1回6日制時代(235)    月2回5日制時代(223) 完全5日制時代(205日前後)    

(3) 通知票(あゆみ)の評価を1学期と2学期の2回にすることにより、学習(評価)期間が100日ほどになって絶対評価の意義が生かされる。

 *40日ほどに減った3学期では、絶対評価の意義が薄いし、教科によっては、少ない授業時数なのに無理に評価しなければならない弊害が生じている

(4) 一つの学期がなくなることで、始業式と終業式が減ったり、当日の時数カットがなくなることや、評価週間が一回減ることで、年間授業時数を増やすことができる。

(5) 評価業務のなくなった7月と12月がこれまで以上にゆったりできるので、行事の時期や持ち方及び内容を見直せる。また、夏季及び冬季休業前に児童への個別指導週間を設定して、学習や生活の在り方をふりかえり、有意義な休みの過ごし方に向けた指導・支援ができる。

(6) 夏季休業及び冬季休業期間中に、4〜7月と10〜12月の間における学習結果について評価業務ができ、1学期末(9月)及び2学期末(3月)の評価業務にゆとりをもたらすことができる。

(7) 新教育課程が目指す総合的な学力(学ぶ意欲、思考力、判断力、表現力、知識・技能)の育成には、学習期間の長い2学期制がふさわしい。

3 2学期制の仕組み

  〜

4 2学期制の法的根拠 2学期制には、学校管理規則の改正が不可欠である。それは、各市町村の学校管理規則の中で、 第1、第2、第3学期の期間が定められているからである。幸いにも、本校が試行を目指せたのは、 女満別町学校管理規則の第20条の2項に、「校長は、教育上特に必要があると認めるときは、前項の 規定にかかわらず、2学期とすることができる。」があったことによる(これは多分、町立女満別定時制農業高等 学校があった時の規定がそのままにされていたことによるのではないかと思われる)。 加えて、第25条の3項に、「校長は、教育長の承認を得て10日以内に限り、他の時季に休業日を設けることができる。」があったことで、学校管理規則改正の必要がなくなったのである。

学校便り「学び舎」16号  平成15年1月21日発行より抜粋

ゆとりがなくなった学校  ゆとりの中で生きる力の育成をというキャッチフレーズのもとに、我が国の教育政策として新教育課程と完全学校週5日制が実施され約10か月がたちました。  学校は土曜日が完全に休業日となり、5時間授業や6時間授業が増えて、委員会活動や教師と子供達との触れ合いなどの面で、放課後のゆとりがなくなりました。  昨年度と同じ学校にいるのに、先生方や子供達を見ていて、児童会の大きな活動や学校行事を実施するための事前活動時間の確保が大変だし、とても忙しそうでした。中休みや 昼休みのちょっとした時間をぬっての時間確保であり、準備や話し合い活動でした。学校での生活からは、ゆとりが少なくなりました。 ゆとりがなくなった原因は?  子供達は、土・日が休業となったことで、家庭や地域社会で自主的に活動するゆとりや体を休めるゆとりができましたが、学校ではゆとりがなくなったのです。その原因を考えて見ました。  学校の授業日数は、土曜休業日が増えたり、3連休となる祝日が増えたことによって、完全6日制時代より41日間も減って205日になりました。41日は、今年度の3学期がなくなったのと同じ日数なのです。それなのに学校は、3学期制のままで、6日制時代の行事や活動をやってきました。  学校が6日制から5日制に完全に変わったのに、その変化への対応が十分できていないために、忙しくゆとりがなくなったことがわかりました。  完全学校週5日制は永続的なもので、6日制に 戻ることはありません。この現実が変わらない中で、学校としてどう工夫するかです。 なぜ2学期制をやるか  こうした社会の変化に対応させて、学校の2学期制をいち早く導入したのが仙台市でした。教育委員会が自ら主導して、平成12年度から試行の学校を数校おき、平成14年4月から市内の全小学校(122)、全中学校(63)で2学期制を実施しています。  金沢市も教育委員会が主導で、14年度から4校で試行し、平成16年度から市内の全小・中学校で実施の予定です。  大阪市や北海道の石狩市でも全小中学校での2学期制の導入を検討しています。札幌市では、各学校の判断で、市内の半数の小学校(99)で既に実施しています。  仙台市教育委員会からは、デメリットよりメリットの方がずっと多いと報告が出ており、全国から視察訪問が絶えないとのことです。  仙台市で12年度から試行している学校から資料を取り寄せました。2学期制のよさや学校としてどのような点に配慮すべきかが分かりました。  よいことであれば、本校の子供達のために、学校教育の充実のために、また「女満別教育」の発祥校として、いち早く試行をしたいです。

学校便り「学び舎」16号  平成15年1月21日発行より抜粋

2学期制の試行は、女満別町学校管理規則に基づいて実施します。 女満別町学校管理規則では 20条2項:校長は教育上必要があると認める        ときは前項の規程にかかわらず2    学期とすることができる。 25条3項:校長は教育長の承認を得て、10    日以内に限り、他の時期に休業日    を設けることができる。 2学期制はこのような仕組みです  

(1)年間の授業日数は変えません

(2)1年間を1学期と2学期に分けます

(3)学期と2学期の間に秋休みをおきます

(4)夏休みを2日減らして秋休みに入れます

(5)通知票(あゆみ)は年2回とします

(6)学期の仕組みは

  ●1学期は   4月7日(月)〜10月7日(火)

  夏休みは 7月26日()〜8月17日() 23日間

  ●秋休みは    10月8日(水)〜10月13日(月) 6日間 *10月8日 開校記念日で休み  

    *10月9,10日 夏休みから2日を移行 *10月11(土)、12日(日) *10月13日(月) 体育の日(祝日)

  2学期は   10月14日(火)〜3月24日(水)

  冬休みは 12月27日()〜1月20日() 25日間

  年度末・学年始め休業は 3月25日(木)〜4月6日(日)

(7)夏休みと冬休み前に、子供達全員を対象に個別指導週間をおきます 25条については、2月3日、文書によって教育委員会より承認をいただきました。

学校便り「学び舎」17号 2月4日発行より抜粋

先進校での2学期制の成果です

新学習指導要領が目指す「学びの連続性」が保障できる

(1)教育課程の編成の仕方が工夫しやすくなり学習の進め方に余裕がもてた。

(2)学期が長くなったので、学ぶ意欲が連続し、時間をかけて解決に取り組めた。

(3)夏・冬休み前の先生方との指導・相談週間によって、課題解決に見通しがもてた。

(4)新学習指導要領が目指している問題解決的な学習の仕方の積み上げができた。

(5)100日ほどの学期になったので、絶対評価の累積に適していた。 (42日の3学期では無理がある)

7,12月にゆとりのある教育活動ができた

(1)学期末評価のための教科の圧縮授業(あわてた授業)がなくなり、余裕を持ってのびのび授   業ができた。

(2)教科書の上巻と下巻のつながりがよくなり、無理なく進展した。

(3)これまで無理であった校外学習やゲストを招いての活動ができるようになった。

(4)7月と12月の授業が、夏、冬休みに入る直前まで充実して行えた。また、その学習を休み   中にも連続させることができ、休み明けの1日目から普通のリズムで授業に入れた。

年間を見通したロングスパンの単元構成ができ、児童の成長の様子がとらえやすくなっ  た。(夏、冬休み前までにという縛りがなくなった)

4 長期にわたって調べ学習をする教科や活動を中核に単元構成をする総合では、長い  サイクルでじっくりと学習する機会がとれて、相性がよい。

5 評価作業にゆとりができた。  

(1)夏、冬休み中に1,2学期の通知票のあらかたを作成できる。

(2)7,12月の個人面談週間の資料づくりが評価の中間整理になる。  

(3)3学期制の時よりも児童の評価情報を多く収集でき、よさをとらえやすい。

6 放課後にゆとりができ、子供達との触れ合いや個別指導時間が取れるようになった

7 教職員に「精神的なゆとり」、「時間的なゆとり」がもてたことで、「児童を見るゆとり」 が生まれた。

8 秋休みの設定によって精神的・身体的なゆとりが生まれた。

9 ゆとりが生じたからといって行事を増やすことはせず、子供達との触れ合 いや個別指導の時間確保に回した。

10 同時に、行事や会議の合理化にも努めた。

平成15年度からの2学期制の試行について    PTA常任委員会    平成15310

1 2学期制試行の意図

 ◎ゆとりの中で、新教育課程の趣旨を実現する女小教育の創造

児童一人一人に 基礎・基本を確実に身に付けさせる指導の充実

児童一人一人に 成長の喜びを実感させる教育活動の創意工夫

教職員一人一人に 教育活動への喜びをもたらすゆとりの創出

(1) 新教育課程では5,6時間授業が増えて、児童会活動や放課後活動にゆとりがなくなったが、各学期が100日ほどの長い授業日数となる2学期制によって年間を通したゆとりがを生み出すことができる。

(2) 旧学習指導要領及び学校6日制時代に実施していた学校行事が、ほぼ同様に計画・実施されていて窮屈なことから、その見直しや検討を図る。    (完全学校6日制時代より41日間減っている。これは3学期分がなくなったに等しい)

参考

完全6日制時代(246)   

○月1回6日制時代(235)

月2回5日制時代(223)  

○完全5日制時代(205日前後)

(3) 通知票(あゆみ)の評価を1学期と2学期の2回にすることにより評価期間が100日ほどになって絶対評価の意義が生かされる。   (40日ほどに減った3学期では、絶対評価の意義が薄いし、教科によっては、少ない   授業時数なのに無理に評価しなければならない弊害も生じている)

(4) 一つの学期がなくなることで、始業式と終業式が減ったり当日の時数カットがなくなることや、評価週間が一回減ることで、年間授業時数を増やすことができる。

(5) 評価業務のなくなった7月と12月が、これまで以上にゆったりできるので行事の時期や持ち方及び内容を見直せる。また、夏季及び冬季休業前に、児童への個別指導週間を設定して、学習や生活の在り方を振り返り、有意義な休みの過ごし方に向けた指導・支援ができる。

(6) 夏季休業及び冬季休業期間中に、4〜7月と10〜12月の間における学習結果について評価業務ができ、1学期末(9月)及び2学期末(3月)の評価業務にゆとりをもたらすことができる。

(7) 新教育課程が目指す総合的な学力(学ぶ意欲、思考力、判断力、表現力、知識・技能)の育成には、学習時間の長い2学期制がふさわしい。

2 3学期制と2学期制の違い

  〜

学校便り「学び舎」21号 3月24日発行より抜粋

平成15年度の開始に向けて  いよいよ4月から、2学期制が試行されます。学校の指導計画は、スケート学習をやめたことにかかわって、「体育」の一部の単元を修正することと、2年目を迎える「総合」の単元構成の一部に変更があるだけで、ほかは、昨年 11月に配布しました『学校要覧』に示しました〈各教科単元(題材)配当表〉に大きな変更はございません。引き続きご活用下さい。  2月末の学級懇談会の折りに配布しました、3学期制と 2学期制の違いの資料を再度掲載いたしますので、ご確認いただければと存じます。

《3学期制と2学期制の違い》   〜   

2学期制ということで、何かと不安や戸惑いがあろうかと存じますが、5日制と変わらぬ中で、新学習指導要領の趣旨を生かした充実した学校教育を目指すためのチャレンジということでご理解をいただきたいと存じます。  平成15年度も本年度同様のご支援・ご協力をお願い申し上げます。   平成15年5月26日

 1年生及び転入生の保護者 各位           女満別町立女満別小学校長          中 村  保  

  2学期制試行について 

    本校では、本年4月より、網走管内では初めてとなる2学期制を試行しています。家庭訪問や参観日の懇談等で、「2学期制の仕組みがわからないので図で教えて欲しい」という声があったと23日の職員会議で、教務部の係から説明がありました。  早速、昨年度中に学校便り『学び舎』や、PTAの常任理事会等でお知らせしていた内容を組み合わせてお届けしますので、ご理解のほどよろしくお願いします。

1 2学期制試行のねらいとその根拠

 《総括的なねらい》◎ ゆとりの中で、新教育課程の趣旨を実現する女小教育の創造  

〈具体的なねらい〉

○ 児童一人一人に 基礎・基本を確実に身に付けさせる指導の充実     

      ○ 児童一人一人に 成長の喜びを実感させる教育活動の創意工夫      

     ○ 教職員一人一人に 教育活動への喜びをもたらすゆとりの創出

(1) 新教育課程では5,6時間授業が増えて、児童会活動や放課後活動にゆと りがなくなったが、各学期が100日ほどの長い授業日数となる2学期制によって、年間を通したゆとりを生み出すことができる。

(2) 旧学習指導要領及び学校6日制時代に実施していた学校行事が、ほぼ同様に計画・実施されていて窮屈なことから、その見直しや検討を図る。

参考 *学校6日制時代より41日間減っている。これは3学期分がなくなったに等しい

完全6日制時代(246)

  月1回6日制時代(235)  

月2回5日制時代(223)  

○完全5日制時代(205日前後)  

(3) 通知票(あゆみ)の評価を1学期と2学期の2回にすることにより、学習(評価)期間が100日ほどになって絶対評価の意義が生かされる。

 *40日ほどに減った3学期では、絶対評価の意義が薄いし、教科によっては、少ない授業時数なのに無理に評価    しなければならない弊害が生じている

(4) 一つの学期がなくなることで、始業式と終業式が減ったり、当日の時数カットがなくなることや、評価週間が一回減ることで、年間授業時数を増やすことができる。

(5) 評価業務のなくなった7月と12月がこれまで以上にゆったりできるので、行事の時期や持ち方及び内容を見直せる。また、夏季及び冬季休業前に児童への個別指導週間を設定して、学  習や生活の在り方をふりかえり、有意義な休みの過ごし方に向けた指導・支援ができる。

(6) 夏季休業及び冬季休業期間中に、4〜7月と10〜12月の間における学習結果について評価業務ができ、1学期末(9月)及び2学期末(3月)の評価業務にゆとりをもたらすことができる。

(7) 新教育課程が目指す総合的な学力(学ぶ意欲、思考力、判断力、表現力、知識・技能)の育成には、学習期間の長い2学期制がふさわしい。

2 3学期制と2学期制の違い

  〜

3 昨年度の説明等の経過

 10 12月の職員会議で試行を検討 「試行の意図」、「全国的な状況」、「2学期制のメリット・デメリット」、「先進校である仙台の     小学校の実践成果、及びその他全国の先進校の取り組み」などを検討。

 1月 学校便りで「来年度2学期制を試行」について説明 〔ゆとりがなくなった学校、その原因       は?、なぜ2学期制をやるか、女満別町学校管理規則では、2学期制はこのような仕組み〕

☆教育長宛、夏休みを2日間、秋季に移動するための休業日変更承認願いを提出〜2月3日に承認 2月 学校便りで「先進校での2学期制の成果」 を掲載。

 ○新1年生の1日入学説明会において、1月と2月の学校便りの2学期制についての資料      をB4一枚に合成して配布・説明。 PTAの常任委員会で概要を説明。

下旬の参観日後の学級懇談用資料として、3学期制と2学期制の違いが分かる資料を 全児童数分配布。各学級担任が、その資料をもとに説明し、質問等に応対。 3月

PTAの常任委員会で詳説。

学校だより「学び舎」17号 平成15年7月25日発行より抜粋

2学期制での1学期、7割が終了

 1学期の約3分の2の77日間が、本日で終了しました。明日から23日間の夏休みが始まりますが、2学期制の試行にともなう学校の様子や、夏休みに向けて気を付けて頂きたいことなどをお知らせします。 7月の様子から  今年は、前号でお知らせしましたように、夏休み前に通知票を渡しませんので、7月に入ってから、評価のための授業の追い込みやテスト漬け、あるいは評価週間のための一斉下校などがありませんでした。  放課後も平常通り確保されており、先生方や子供達の様子からして、学校全体が落ち着いた生活ぶりであることと、最終日までしっかり授業をやるのだというよい雰囲気を維持したまま、夏休みを迎えることができました。 2学期制の先進校の実践成果の中に、2学期制のよさの一つとして、〔7月と12月における、ゆとりと落ち着きのある学校生活や授業〕が列挙されていましたが、試行してみて、そのことを実感いたしました。 通知票がなくて夏休み?通知票をもらわずに夏休みを迎えるという 事実は、これまでの学校習慣(リズム)にはない大きな変化でありますので、保護者の皆様の中には、なんだか気持ちがしっくり落ち着かない、励ましようも褒めようもない、と感じられる方がおられるもしれません。 こうした気持も、保護者の方々の身に、子供時代からしみこんでいる3学期制という習慣がもたらす現象の一つなのだと思います。 この辺の感想等については、2月中旬頃に予定しています2学期制を含めた学校教育のアンケート調査の中にご記入頂ければと存じます。 ところで、子供達はどのように感じているのでしょうか。是非、本日は、子供達の感想もお聞きになって見てください。 子供達は意外に、スムースにこの変化を柔軟に受け入れて夏休みを迎えていくものと思います。 夏休みを有意義に  秋休みに2日間移したため、明日からの夏休みは、例年より短く23日間となります。 学校では、女満別町生徒指導連絡協議会における協議に基づいて作成しました「夏休みの生活」を子供達に配布しました。 《生活》、《健康》、《学習》の3つの面について、大まかなきまりごとを載せていますが、最終的には、学年の発達段階に応じ、各ご家庭で、責任あるご判断をいただきたいと存じます。 夏休みの意義は、学校生活では得ることのできない自主的、自発的な生活を計画的にさせるところにあります。 兄弟姉妹、それぞれの個性や力量に応じた約束事やお手伝いなどを、親子で話し合って、それらが少しでも実現するように、温かい励ましとともに、時には厳しい指導を授けることがあってもいいと思います。 大きな事故や病気が生じた時は、必ず各担任に連絡してください。担任が不在の場合は、学校まで連絡下さい。

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