2019年に開催された北海道各地の吹奏楽コンクールのプログラムを見ていると、僕を困惑させる「J.デ・ハーン」との記述がみられることがあります。実は「J.デ・ハーン」と略されている作曲家は、2人いらっしゃるので、この表記だと作曲家がどなたなのかがわからなくなっているのです。
ヤン・デ・ハーン | Jan de Haan | 1951- |
ヤコブ・デ・ハーン | Jacob de Haan | 1959- |
この二人は兄弟で、ヤン(兄)・ヤコブ(弟)のオランダの作曲家です。ちなみに、ヤンは、かつて 吹奏楽等の楽譜出版社「デ・ハスケ(De Haske)」の社長を務められていた人物でもあります。ちなみにウィキペディア(日本版)には、弟ヤコブの項目しかありませんが英語版ウィキペディアには、ヤン / ヤコブ それぞれのページがあります。
ヤン(兄)・ヤコブ(弟)は、違う人物なのですから、きちんと表記を区別するようになることが必要です。
さて、今年度の北海道各地で開催された吹奏楽コンクールでの表記を確認しました。8団体がヤコブ・デ・ハーンの曲を取り上げていて、「ヤコブ・デ・ハーン(北見)」「J.デ=ハーン(札幌)」「J.de.ハーン(帯広)」「J.デ=ハーン Jacob de Haan併記(旭川)」「J.デ=ハーン(北海道大会)」と表記されていました。
なお、遠軽町立南小学校が取り上げた「エレジーI ~ジェラシー」は、地区大会では「ヤコブ・デ・ハーン」と明確な表記でしたが、北海道大会では「J.デ=ハーン」と曖昧な表記に変更されています。北海道大会のプログラム表記は、過去には様々であったと記憶しますが、いつの日にか「J.デ=ハーン」と統一表記されるようになっているのです。ヤンとヤコブが不明確になっている状況をとても残念に思います。
2019年度北海道各地の吹奏楽コンクールで演奏されたヤコブ・デ・ハーンの曲 | ||
曲名 | 演奏回数 | 団体 |
ダコタ | 4 | 音更町立共栄中学校、札幌市立旭小学校、札幌市立白石小学校、遠軽町立遠軽小学校 |
エレジーI - ジェラシー | 1 | 遠軽町立南小学校 |
コンチェルト・ダ・モーレ | 1 | 北見市立常呂小学校 |
バシフィックドリーム | 1 | 旭川市立神楽岡小学校 |
ハンザ同盟組曲 | 1 | 旭川市立近文小学校 |
2019年度は兄ヤン・デ・ハーンの作品を選曲した団体はありませんでした。
これまでの吹奏楽コンクール北海道大会で演奏された兄弟それぞれの作曲作品
曲名 | 原題 | 演奏回数 | グレード/作曲出版年 |
バンヤ・ルカ | Banja Luka | 6 | G5/1995 |
ディスカバリー・ファンタジー | A Discovery Fantasy | 3 | G3/1993 |
インスピレーション | Inspiration | 2 | G4/1993 |
コードによる変奏曲 | VARIATIONS ON A CHORD | 2 | G5/1990 |
サンライズ・インプレッション | A Sunrise Impression | 1 | G3/1996 |
祭典のための音楽 ~ジョン・ウィリアムズに捧げる | Music for a Solemnity A tribute to John Williams | 1 | G4/1997 |
新時代への序曲 | Overture to a New Age | 1 | G4/1995 |
*グレードはヤン本人のホームページ調べ
*ヤコブは「Dizzy Stratford」「Ron Sebregts」「Tony Jabovsky」のペンネームも使っていました。
曲名 | 原題 | 演奏回数 | グレード/作曲出版年 |
コンチェルト・ダモーレ | Concerto d'Amore | 18 | G3/1995 |
ロス・ロイ | Ross Roy | 12 | G3/1997 |
ダコタ | Dakota –Indian sketches | 10 | G3/2002 |
パシフィック・ドリームズ | Pacific Dreams | 8 | G4/1999 |
ディオゲネス | Diogenes | 7 | G4/1996 |
エレジーI ~ジェラシー | Elegy I ~ Jelaousy | 2 | G5/2008 |
ウェスト・フォート序曲 | Westfort Overture | 2 | G4/1995 |
スピリチュアル・モーメンツ | Spiritual Moments | 2 | G3/1990 D.ストラットフォード |
パサデナ | Pasadena | 1 | G3/2001 |
ユートピア | Utopia | 1 | G4/1994 |
イントロダクション・アンド・モダンビート | Introduction And Modern Beat | 1 | G3/1991 D.ストラットフォード |
*グレードはヤコブ本人のホームページ調べ
兄ヤンの曲は、中学・高校が、弟ヤコブの曲はグレードが高くないことが多いため、小学生団体が多く選択しています。なお、2019年度遠軽南小が演奏した「エレジーI ~ジェラシー」は、グレード: 5 表記の難曲です。
2019年9月16日 facebook
2021年8月 7日改訂